FXのテクニカル分析ってどんな分析方法?
初心者にも使いやすいテクニカル分析は何ですか?
このようなお悩みをお持ちではありませんか。
テクニカル分析は、FX相場の値動きを予測する際に使用します。テクニカル分析を使用せず戦略性のない取引をしても、FXで利益を得ることは難しいといえます。
そこで本記事では、下記の流れで、FXのテクニカル分析の概要や初心者におすすめの分析方法などを詳しく紹介します。
- FX相場(チャート)の分析方法は2つ
- FXの代表的なテクニカル分析6つ
- FX初心者におすすめのテクニカル分析
- FX初心者におすすめのテクニカル分析組み合わせ
- FXのテクニカル分析を使う際の注意点3つ
- FXのテクニカル分析を勉強するのにおすすめの本
本記事ではテクニカル分析の組み合わせ方法についても紹介しているため、初心者の方でもすぐに実践で利益を得やすい使い方を知ることができます。
では早速、「FX相場(チャート)の分析方法は2つ」から紹介しましょう。
FX相場(チャート)の分析方法は2つ
FX相場(チャート)の分析方法には、大きく分けて「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類があります。
テクニカル分析
テクニカル分析は、チャート上での過去の値動きに注目して、今後の相場を予測する分析方法です。
為替相場では「チャートがこの形になったら買いのサイン(または売りのサイン)」といったパターンがあることが知られています。このようなパターンは絶対ではありませんが、多くのトレーダーがこれらのパターンを意識してトレードを行っています。
最初は「チャートの分析なんて難しそう」と思うかもしれませんが、FX取引で戦略的に利益を狙いたいならば、テクニカル分析の基本はぜひ押さえておきましょう。
ファンダメンタルズ分析
「ファンダメンタルズ」とは、各国や地域の経済を構成するさまざまな条件のことです。例えばその国の経済状況や物価の動向、金融政策などが含まれます。
ファンダメンタルズ分析とは、各国・地域のファンダメンタルズ要因から相場動向を分析する手法です。
例えばポンド/円の値動きは、主要通貨としてポンドを使うイギリスの経済状況の影響を大きく受けます。イギリスの国民投票でEU離脱が決定した際にポンドが大きく下落したのは記憶に新しいでしょう。
このようなことがあるため、取引している通貨を使用している国や地域の経済状況を知っておくことはFX取引において非常に重要です。
本記事ではテクニカル分析について解説しますが、ファンダメンタルズ要因にも普段から注目しておくのがおすすめです。
FXの代表的なテクニカル分析6つ
FXで使われるテクニカル分析には、「トレンド系」と「オシレーター系」の2種類があります。
トレンド系テクニカル分析
トレンド系は、現在の相場の方向性を示す指標です。わかりやすく言い換えると、現在の相場のトレンドが「上昇トレンドなのか」、「下降トレンドなのか」を判断するための指標です。
トレンド系の代表的な3つの指標について見てみましょう。
移動平均線
「移動平均線」とは、一定期間の価格(通常は終値)の平均を結んだものです。テクニカル指標の中でも代表的なもので、多くのトレーダーが利用しています。
上記の画像は、移動平均線を表示させたチャートです。
為替相場は絶えず動いており、ローソク足を見るだけで今後どの方向に動くか予測するのは困難です。しかし移動平均線を引くことで、上記の画像のように相場の大まかなトレンドを把握しやすくなります。
また、線の向きだけでトレンドを把握できるため、初心者の方にも扱いやすいテクニカル指標です。
移動平均線については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、標準偏差などを用いた計算によって導き出された「この範囲内でレートが推移するだろう」という範囲を示すものです。
ボリンジャーバンドを求めるための計算は複雑なものですが、多くのFX取引ツールでは自動で計算を行ってくれます。
移動平均線の上下にある帯状の範囲内に価格が収まる可能性が高いということを利用して、順張り・逆張りの双方に使われます。
ボリンジャーバンドの形は相場の変動を反映しており、バンドが拡大しているときは値動きが大きく、縮小しているときは値動きが小さくなっている傾向があります。
ボリンジャーバンドが大きく拡大したときはトレンド発生のサイン、収縮するときはトレンド収束のサインと言われています。
一目均衡表
一目均衡表は日本で開発されたテクニカル指標で、相場のバランスを視覚的に捉えるのに役立ちます。
一目均衡表には「基準線」「転換線」「先行スパン1」「先行スパン2」「遅行線」の5つの線があり、先行スパン1と先行スパン2の間の範囲を「雲」といいます。
このうち注目すべきなのは「基準線」「転換線」「雲」の3つで、これらの形や位置関係などから様々な売買サインを読み取ります。
例えば、次のような売買サインがあります。
- ローソク足が「雲」よりも上にあれば上昇トレンド、下にあれば下落トレンド
- 転換線が基準線を下から上に突き抜けると上昇トレンド、逆に上から下に突き抜けると下降トレンド
- 遅行スパンが26日前のローソク足を上回ると上昇トレンド発生、逆に遅行スパンが26日前のローソク足を上から下に抜けると弱気相場への転換
オシレーター系テクニカル分析
オシレーター系は「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するテクニカル指標です。主に相場の反転を予測して、逆張りの取引を行うのに利用されます。
RSI
RSIはオシレーター系の中でもよく用いられるもので、0〜100%の数値で買われすぎ・売られすぎの度合いを示します。
一般的にRSIが70%~80%を超えると買われ過ぎ、20%~30%を下回ると売られ過ぎのサインであると判断されます。
特にレンジ相場で有効で、逆張りのトレードに活用できます。逆に強いトレンドが出ている相場ではうまく機能しないことが多いため注意が必要です。
MACD
MACD(マックディー)はトレンド系とオシレーター系の両方の機能を持つ分析手法です。「より新しいデータほど価値が高い」という前提に基づいて、移動平均線をさらに発展させたものとなっています。
MACDの分析手法では、「MACD」と「シグナル」という二つの線から売買サインを読み取ります。
MACDがシグナルを下から上へ抜けると「ゴールデンクロス」と呼ばれる買いサイン、MACDがシグナルを上から下へ抜けると「デッドクロス」と呼ばれる売りサインと判断します。
また、二つのラインが交差する角度が予測の信頼性を示しており、交差する角度が浅ければ弱いサイン、深ければ信頼性が高いサインであると考えられます。
MACDはサインの読み取り方が簡単で初心者でも扱いやすいため人気の高い分析手法ですが、レンジ相場では信頼性が低いことが多くなるため注意しましょう。
ストキャスティクス
ストキャスティクスは、RSIと同様に「買われすぎ」「売られすぎ」を判断する分析手法です。レンジ相場において現在のレートを過去の一定期間のレートと比較し、0〜100%の数値で買われすぎ・売られすぎを判断します。
ストキャスティクスでは短期線の「%K(パーセントK)」と中期線の「%D(パーセントD)」を用います。
見方はRSIと同様で、70~85%を超えると買われすぎ、15~30%を下回ると売られすぎと判断します。
また、「%K」のラインが「%D」のラインを下から上へ抜けると買いシグナル、「%K」のラインが「%D」のラインを上から下へ抜けると売りシグナルというサインも読み取れます。
ストキャスティクスはレンジ相場で最も有効とされますが、上昇や下降のトレンドが出ている相場では機能しづらいため注意が必要です。
FX初心者におすすめのテクニカル分析
以上、様々な分析方法を紹介しましたが、FX初心者にはどの手法が適しているのでしょうか。
FX初心者に最もおすすめなのは移動平均線です。
移動平均線は前述の通り読み取り方も難しくなく、線を見るだけで相場のトレンドを把握できるため、初心者の方にも扱いやすいテクニカル指標です。
初心者がテクニカル分析を始めるならば、移動平均線から入るとよいでしょう。
FX初心者におすすめのテクニカル分析組み合わせ
テクニカル分析は非常に便利ですが、テクニカル分析から読み取れるサインは必ず的中するわけではないため過信は禁物です。時には誤ったサインが出る場合もあり、これを「ダマシ」と言います。
予測の精度を上げるためには、一つの分析手法だけでなく複数の手法を組み合わせることや、ファンダメンタルズ分析も活用することが有効です。
複数のテクニカル分析を組み合わせる場合は、順張り系のトレンド系と逆張り系のオシレーター系を組み合わせるのがおすすめです。
具体的な組み合わせとしては、初心者ならば移動平均線とRSIがよいでしょう。
下の画像はチャート上で移動平均線とRSIを表示させたものです。
赤い四角形の部分を見ると、移動平均線が上昇しており上昇トレンドが読み取れます。移動平均線のみを頼りに取引するとしたら、買いのサインと考えられそうです。
しかし下の青い丸の部分を見ると、RSIのラインが70%に達しているため、買われすぎと判断することができ、この後相場が下降に転じることが予想できます。
このように、テクニカル系とオシレーター系を組み合わせることで、相場予測の精度を上げることができます。
どんなにたくさんの手法を組み合わせても予測が絶対となることはない点には注意が必要ですが、移動平均線とRSIは初心者でも扱いやすいため、予測の精度を高めたいなら活用してみるとよいでしょう。
FXのテクニカル分析を使う際の注意点3つ
FXのテクニカル分析を使う際には注意点もあります。以下の点をしっかりと意識しておきましょう。
100%成功するとは限らない
テクニカル分析の手法を用いて買いサインや売りサインが読み取れたとしても、それらが必ず的中するとは限りません。
前述の通り、手法ごとに機能しにくい相場状況があり万能なものはありません。また、相場は各国の経済状況や政治的な出来事、金融政策などの要因によっても変動し、すべての値動きをテクニカル分析で予測することは不可能です。
たとえテクニカル分析で強い買いサインや売りサインが出たとしても、つねに予測は外れる可能性もあるということを意識しながら取引しましょう。
売買ルールを必ず守る
FXでは、自分の売買ルールを決め、それを守って取引していくことが大切です。
初心者のFXでありがちな失敗は、利益を求めるあまり冷静な判断ができず、場当たり的で戦略性のない取引を行ってしまうことです。
たとえば、以下のような失敗例が挙げられます。
- 利益を早く確保しようと利益確定を急いでしまい、利益を大きく伸ばせない
- 損失を確定すること(損切り)ができず、損失を膨らませてしまう
- チャンスを待つことができず無駄なエントリーを増やしてしまう
このような失敗を防ぐために、一定の条件で利益確定や損切りをするといった取引ルールを持っておきましょう。ルールがあれば、取引の際に迷うことが少なくなります。
そしてテクニカル分析を行う際にも、ルールを守ることを徹底しましょう。
テクニカル分析では強いサインが出ることもありますが、サインが読み取りづらく判断に迷うような場合もあります。そのようなときに普段から心がけている自分のルールがあれば、取引判断がしやすくなります。
予想が外れたらすぐに損切りをする
前述のように、初心者のFX取引で多い失敗の一つが「損切りができず、損失を膨らませてしまう」というものです。
テクニカル分析に基づいた判断で注文を入れたとしても、予想が外れて損失が出てしまった場合はすぐに損切りをしましょう。
「テクニカル分析からの判断なのだから、待っていれば利益に転じるはずだ」などと考えて放置していると、予想以上に損失が大きくなってしまうかもしれません。
どんな分析手法を使っていたとしてもそれを過信することなく、早めに損切りを行えるようにしましょう。
FXのテクニカル分析を勉強するのにおすすめの本
テクニカル分析をより本格的に行いたい場合は、分析の方法が体系的にまとめられた書籍を読むとよいでしょう。
手始めとして、下記の書籍「FX チャートリーディング マスターブック ~為替のプロが実践する本当に勝てるワザを大公開!」がおすすめです。
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ほかにも下記の記事でFXのスキルアップに役立つ書籍を多数紹介しています。FXをしっかりと学びたい方はぜひこれらの書籍も活用してみましょう。
まとめ:FXで利益を得るためにはテクニカル分析は必須
テクニカル分析を活用すると、より戦略的な取引が行えるようになります。
テクニカル分析と聞くと初心者には難しそうに聞こえるかもしれませんが、多くのFX会社の取引ツールでは自動で計算を行ってテクニカル分析を表示してくれる機能が備わっています。
また、本記事で紹介したように、テクニカル分析には様々な手法があり、初心者でも簡単に扱えるものもあります。
テクニカル分析も絶対ではありませんが、勘に頼って取引するのとテクニカル分析を活用するのとでは大きな違いがあります。
ぜひテクニカル分析を身につけて、一歩進んだトレードを目指しましょう。