fbpx

【トランプ氏退院でも楽観は禁物】 2020年10月7日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(9月30日~10月6日)

105円台半ばで一進一退が続いていたドル円ですが、10月2日金曜日、「トランプ大統領とメラニア夫人が新型コロナウイルス検査で陽性」と発表されると、一気にリスクオフの動きが広がり、一時104.94円まで下落しました。

ただその後はトランプ大統領の症状は軽度と報じられたこともあり、105円台半ばへ持ち直す展開。

米国10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+66.1万人と予想(+87.5万人)を下回りましたが、失業率が7.9%と予想(8.2%)より低下したこともあり、反応は限定的となりました。

トランプ大統領は週末に一時酸素吸入を受けたものの、容体が順調に改善し、5日夕方に退院したことから、ドル円は105.80円を突破し、急落前の高値を上回りました。

大統領選をめぐる不透明感

うかつにもコロナに感染してしまったトランプ大統領、一時深刻な状態だったものの、たったの3日で退院しホワイトハウスで執務を再開しました。

現職大統領が大事には至らなかったことで、まずは胸をなでおろしたところですが、大統領はコロナから完全に回復したわけではなく、まだ100%楽観はできません。

また多数の感染者を出し今やクラスターとなったホワイトハウスを閉鎖もせず、多くの職員がマスクだけで登庁しているのを見ると、こんな処置で本当に大丈夫なのか?と思ってしまいます。

なにより大統領選の投票日まで1か月を切る中でのトランプ大統領のコロナ感染は大きな痛手であることに変わりありません。

今後しばらくは自主隔離が続くことから、お得意の大規模集会はできず、選挙最終盤の重要州への訪問を含む選挙活動は著しく制限されるでしょう。

トランプ氏がこのまま回復したとしても、コロナを軽視したとのそしりは免れず、選挙はバイデン氏有利との見方が強まるでしょう。

CNNによると、現在バイデン氏とトランプ氏の支持率は57%対41%で、その差は7月下旬以降で最大になっています。

コロナに感染したトランプ氏への同情票は今のところ入っていないことになります。

しかも11月3日の大統領選でバイデン氏が勝利した場合、トランプ陣営は即座に結果の無効を訴えて大混乱となる可能性があります。

今回の選挙では慣れない郵便投票を導入した自治体が多いことや、第三国の不正な介入の可能性があることを理由に、法廷闘争に打って出るというのです。

最悪の場合、次の大統領がどちらなのかわからないまま年を越す可能性すらあります。

大統領選をめぐる不透明感は一段と高まったと言えるでしょう。

選挙前の追加経済対策は絶望的 米国の追加経済対策について、ペロシ下院議長とムニューシン財務長官の協議が続いていたことから、市場は大統領選前の合意をある程度期待していました。

しかしトランプ大統領は昨日、協議を大統領選後まで停止すると発表。選挙前の成立は絶望的な状況になってしまいました。

コロナウイルス感染の終息が見通せず、しかも雇用対策の期限切れで今後はさまざまな業界で大規模なレイオフが始まります。

実体経済は再び悪化に向かう可能性が高く、先行き懸念が広がるでしょう。

株式市場の試練はこれから

現在米国株式市場では、NYダウが2万8千ドル台を回復するなど、意外に堅調な動きとなっていますが、これがトランプ大統領退院に対するご祝儀だとすれば、長続きはしないはず。

民主党はより大規模な経済対策を要求していることから、バイデン大統領誕生なら景気にはプラスとの見方もあるようですが、さすがに屁理屈というものでしょう。

これだけ先行き不透明感が強まっていることを考えると、高値トライは当分考えにくいどころか、いつ急落に見舞われてもおかしくないと思います。

ドル円は戻り売りの好機

現在のドル円の上昇も、トランプ大統領のコロナ重篤化を想定したドルショートが退院をきっかけに巻き戻されているだけのように見えます。

だとすれば、株式市場と同様、長続きするとは考えにくく、戻り売りの好機という判断となります。

チャート上は、105.80円から106.00円にかけては強い抵抗帯があり、仮にここを超えても106.50円にはさらに強いレジスタンスがあります。

106円付近はよほど極端なリスクオンの状態でない限り(その可能性はかなり低いですが)、買い上がっていくことは難しいでしょう。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
タイトルとURLをコピーしました