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【予想が外れた時は敗因を分析することが大事】2021年2月17日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(2月10日~16日)

ドル円は104.41円で底打ちし、じりじりと下値を切り上げる展開に。

米国債利回りの上昇がドルをサポートしたほか、時事通信が「日銀は政策点検でマイナス金利の深掘り余地があることを明確化する方向で調整に入る」と伝えたことが円売りを誘いました。

週明けの15日、日本の10-12月期GDPが予想を上回ったこともあり、日経平均が30年半ぶりに3万円を突破

これを受けてリスクオンの円売りが強まり105円台を回復。

日米の株価上昇と米国債利回りの上昇もドル買い・円売りに拍車をかけ、一時は昨年10月以来となる106円台を示現しました。

先週の当コラムでは、ドルの上昇は一時的な動きに過ぎず、買い戻し一巡後は再び下落すると予想しましたが、残念ながら逆の展開となりました。

ただ相場に読み違いはつきもの。予想が外れたら、潔く損切りし、その敗因を分析することが大事です。

テクニカルには上昇トレンド入り?

チャート上は、昨年3月から続いていた高値・安値を切り下げる弱気のパターンが完全に崩れ、逆に1月6日の安値102.59円をボトムとした高値・安値を切り上げる強気のパターンが形成されつつありました。

また一目均衡表も、三役好転(日足>先行スパン、転換線>基準線、遅行スパン>日足)の絶対買いシグナルが点灯。

テクニカルには上昇トレンド入りの可能性が高まっていました。

チャートがここ数週間強気のシグナルを発していたにもかかわらず、ドル安材料にこだわりすぎ、フラットな見方ができなかったのがまず第一の敗因です。

ドル円日足一目均衡表

ドル円日足一目均衡表 出所:NetDania

米国債利回りの急上昇がショートカバーの引き金に

ドル円の方向性に大きな影響を与える米国10年債利回りは1.3%台をつけ、去年3月のパンデミック時の戻り高値を上回ってきました。

ドルをショートしている投機筋にとって急激な金利上昇はポジション巻き戻しの引き金となります。

米国10年債利回りはパンデミック後の高値更新

米国10年債利回りはパンデミック後の高値更新

米国債利回り上昇はずっと気にしていたのですが、同時に期待インフレ率も上昇していたため、「実質金利は上昇していないので評価できない」と高をくくっていました。

これが第二の敗因です。

株高はドル安?円安?

米国株式市場が連日最高値を更新し、日経平均はついに3万円台回復。

思わず高所恐怖症になりそうですが、この株高にはワクチンの接種開始によるコロナ終息期待や、先送りされていた需要(ペントアップ・ディマンド)の実現による景気上振れ期待、中長期的なイノベーション期待などれっきとした根拠があり、カネ余りのみによるバブルとは異なります。

株式市場は今後数年にわたって基本的に上昇、時々ガス抜きという流れが続いていくと見ています。

現在の株高も筆者にとっては違和感はありません。

ここまではいいとして、問題は、株高・リスクオンならドル円は上昇なのか、それとも下落なのか。

少なくとも昨年は、株高になるとリスクオンで安全通貨のドルと円が売られるが、ドルの下落の方がやや大きく、ドル円は緩やかに下落するというパターンでした。

しかし年明けからリスクオンならドル円は上昇というルールに書き換えられたようなのです。

昨年末あたりから、日本株の上昇が米国株のそれをアウトパフォームしていたことがその背景にあると思われます。

日本株の上昇が顕著だったから、日本の投資家のリスクオン・外債投資などが想起されたと考えればわかりやすいでしょう。

ゲームのルールはある日突然変わります。

このルール変更に気づかなかったのが第三の敗因です。

日経平均がNYダウをアウトパフォーム 

日経平均がNYダウをアウトパフォーム 出所:NetDania

ワクチン調達で円売り?

今朝の日経新聞に出ていましたが、日本政府が海外の製薬会社から約3億回分のワクチンを輸入・調達するため、年間で数千億円規模の円売りが生じるとの思惑が浮上していることも、一応挙げておきます。

インフルエンザの予防接種のように、毎年接種が必要なのであれば、「今後2~3年で数兆円規模の円売りが出てくる」との見方も出てくるでしょう。

筆者はあまり個別のフローは気にしない方ですが、市場の行きたい方向とマッチしている場合は意外にインパクトがある場合があり、頭の片隅に置いておくべきかもしれません。

ドルの持続的上昇は困難

ただし、実質金利が大幅なマイナスで、巨額の双子の赤字を抱えるドルが持続的に上昇するシナリオはやっぱり描きづらい、というのが筆者の持論。

実際、ドルは欧州通貨や資源国通貨に対しては弱い動きが続いており、ドルインデックスは90ポイント台と安値圏の動きです。

ドル全体が下落する中で、ドル円だけが乖離して上昇していくという動きも(短期的にはともかく中長期的には)考えにくい。

弱気トレンド継続のための最後の砦としていた105.68円を完全に上抜けてしまったので、ドルショートポジションは撤退やむなしですが、ドテンで買いに転じる気にはまだなりません。

一旦ポジションを中立にし、このドル上昇が本物かどうか、もうしばらく見極める必要があると考えています。(負け惜しみではなく・・・)

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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