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【株高・円安はバブルの可能性も?】2020年6月3日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(5月28日~6月3日)

ドル円相場は株価堅調を好感して底堅い動きとなり、抵抗線となっていた108.00円を突破。

日米株式市場がコロナショック後の戻り高値を更新すると、一時108.85円と4月9日以来の高値をつけました。

日経平均は3月の底値1万6千円台から6千円以上上昇し、一時2万2800円台とコロナショックによる下げをほぼ全戻ししました。

NYダウも2万5890ドル近辺と先月の戻り高値を上回る水準で推移しています。

日米ほどではありませんが、欧州、豪州をはじめ主要な株式市場が軒並み大幅に上昇しています。

株価と円相場の関係

株価と円相場は逆相関の関係にあります。

株安でリスク回避志向が高まると、安全通貨の筆頭である円が買われ、円高となります。

反対に、株高でリスク選好が高まると、安全通貨である円を売る動きが強まります。

現在、為替市場はまさにこの状態にあり、円はドルだけでなく欧州通貨や資源国通貨に対しても売られ、ちょっとした円全面安になっています。

株式市場はコロナ後を先取り

現在の株高のテーマは「経済再開」です。

欧米の経済がロックダウンによる停止状態から少しずつ動き始め、経済は4~6月が大底になるという期待です。

また、

  • ① コロナで働き方やライフスタイルが激変し、IT・ネット・デジタル化がむしろ加速する
  • ② コロナによる景気後退を食い止めるため、莫大な財政支出と金融・信用緩和が行われる
  • ③ ワクチンの開発が成果を上げつつある

といった、ウィズコロナ、アフターコロナの良い面をはやす動きもあります。

確かに、感染はいずれ終息し、有効で安全なワクチンが開発され、世界経済は新たな秩序と常態の下で成長を再開するでしょう。

リーマンショックのあと10年でNYダウが7千ドルから2万9千ドルまで4倍以上の上昇となったように、危機の先に長期的繁栄があったことも歴史的事実です。

これから厳しい景気後退が待っている 一方で、米国のコロナウイルスによる死者が10万人を突破し、感染終息の兆候がいまだ見られない中、しかも世界がこれから未曽有の景気後退に突入しようというさなかに、こんなに株高でいいのかと訝る向きも少なくありません。

世界中で行われた過去最大の財政出動と金融緩和による過剰流動性相場であり、バブルに過ぎないという冷めた見方もあります。

今週金曜日には、米国5月の雇用統計が発表されます。

現時点での予想は、非農業部門雇用者数がマイナス800万人。

2000万人以上のマイナスとなった4月よりはましですが、過去に例がないペースで雇用が消失し、失業者が日々激増していることに変わりはありません。

失業率は19.6%と4月の14.7%からさらに上昇し、20%に迫ると見られています。

またアトランタ連銀が発表するリアルタイムのGDP予測「GDPNow」によると、4~6月のGDPは年率で52.8%のマイナスとなる見込みです。

日本や欧州も失業が増え、景気後退に入るのは間違いありませんが、ここまで極端ではありません。

4~6月が景気の大底で、確かにこれ以上悪くはならないかもしれませんが、GDPが瞬間風速ながら50%減少し、全労働者の2割が職を失うという極限状態がもたらすショックは未知数であり、決して甘く見てはいけません。

筆者には、株式市場の上昇はバブルとまではいわないまでも、少々楽観的過ぎるように思えます。

まして為替市場の参加者は株式市場の参加者よりずっと近視眼的であり、長期的な材料を先取りするのは得意ではありません

今週金曜日の雇用統計で壊滅的なデータを目の当たりにしたとき、株式市場も為替市場も「悪いデータは織り込み済み」という反応になるのか、それとも厳しい現実に引き戻されるのか、重要な試金石になりそうです。

ドル円以外はドル安

ドル円以外の通貨ペアを見てみると、ユーロドルや豪ドル、カナダドルなどほとんどの通貨ペアでは、ここ一週間ほどで大きくドルが売られ、もみ合いをドル安方向に抜け出す動きとなっています。

ドルの総合的な強さを示すドル・インデックスは、ここ2週間ほどで3%ほど下落しています。

ドル・インデックスは大きく下落している 出所:NetDania

米国の厳しい経済状況だけでなく、香港をめぐる米中対立や、黒人男性の死亡を受けた抗議活動のエスカレートなど、新たな悪材料も浮上しており、ドルを敬遠する動きが出ているのかもしれません。

ドルが全体に下落する中で、ドル円だけが逆行高という状態が長続きするとは思えません

筆者の予想に反してドル高・円安方向に抜け出したドル円相場ですが、ダマシである可能性もあり、ここは慎重スタンスで様子を見るべきと考えます。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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