【PR】

【ドル円は調整が続きそう ビットコイン、FOMC、米GDPに注意】2021年4月26日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(4月19日~23日)

株式市場や暗号資産市場が不安定な動きとなり、リスク回避ムードが強まる中、ドル円はじり安の展開となり、一時107.48円まで下落しました。

新型コロナの感染拡大が世界的に広がっていることに加え、「バイデン大統領が富裕層へのキャピタルゲイン課税の最高税率を引き上げる提案を行う」と伝わったことで、米国株式市場は一時大幅安。

その後下げ止まったものの、NYダウは3万4千ドルをはさんで乱高下の動きが続きました。

日経平均も一時2万8400円台まで下落しています。

ビットコインバブル破裂?

ビットコインは、「米財務省が暗号資産を利用したマネーロンダリングの対策を強化する」と報じられたことをきっかけに急落し、金曜日には一時4万7千ドル台まで下落しました。

直近では5万ドル台を回復していますが、先々週に付けた高値6万4千ドル台から2割以上の下落です。

一説によると、マイニング(採掘)拠点の一つである中国の新疆ウイグル自治区で起きた停電も影響しているようです。

ビットコインは高性能のコンピュータをフル回転させて採掘するため、電力を大量に消費します。

それで電力料金が安い中国などが拠点となっているわけですが、ウイグルのマイニング業者が停電で採掘できなくなり、保有しているビットコインを売却するとの観測が出ています。

ビットコイン・暗号資産は大量の電力を消費し、二酸化炭素を発生するという環境課題が浮上し、世界的な脱炭素の流れの中で、将来性に疑問符が浮かんできたのかもしれません。

そもそもビットコインは、世界的な金融緩和やカネ余りをバックに買われ過ぎました。

年初からの4か月だけで2倍以上になっていますし、1年前と比べれば10倍以上です。

暗号資産やブロックチェーン技術の将来性は否定しませんが、ここ1年の値上がりは一言でいえばバブルであり、いつ崩壊してもおかしくありません。

崩壊まではいかなくとも、逆風が吹き始めたことは確かであり、当面はビットコイン市場のボラティリティーに注目しておいた方がいいでしょう。

チャート上も年初からの急角度の上昇トレンドが完全に崩壊し、当面調整局面に入った可能性が高まっています。

ビットコインは上昇トレンドラインが崩壊

ビットコインは上昇トレンドラインが崩壊

ではどこまで下げるでしょうか。

過去のビットコインの急落を振り返ると、2014年のマウントゴックス事件で3割安、2018年のビットコインキャッシュ分裂騒動では5割安となったことがあります。

今回の高値に当てはめると、3割安なら4万5500ドルあたり、5割安なら3万2千ドルあたりということになります。ビットコインのボラティリティーを考えれば、1~2週間中に起こっても不思議はありません。

株・為替への影響はネガティブ

ビットコインと株式市場・為替市場の相関関係はまだ明確ではありませんが、少なくとも今年に入ってからは順相関です。

ビットコインが上昇し、株価も上昇し、リスクオンで円売りとなる一方、米国債利回りが上昇してドルも買われるという構図でした。

今これが逆回転しようとしています。

少し前まではビットコインの市場規模が小さく、いわば犬の尻尾のようなもので、巨大な株式市場や為替市場に影響を及ぼすことなど考えられませんでした。

しかし今や機関投資家やヘッジファンドも参入し、市場規模もピークでは1兆ドルを突破しています。

ビットコインが仮に3割下落すれば軽く30兆円の資産が吹き飛ぶことになり、他市場への影響も無視できません。

尻尾が犬を振り回すことも十分あり得るのです。

当面はビットコインの動きを注視し、ビットコイン急落、株安・円高、米国債利回り低下・ドル安という連鎖も想定しておくべきでしょう。

前回の当コラムでは、「ドル円も今週は上値が一段と重くなりそうで、年初からの上昇の38.2%押しの107.76円、半値押しの106.76円あたりを下値めどとして視野に入れておく必要がある」と述べましたが、38.2%押しはすでに到達しており、今週は半値押し106.76円を視野に入れる展開を予想します。

今週はFOMCと米GDP速報値に注目

今週の注目イベントは、火・水曜日に開催されるFOMCと、木曜日に発表される米1-3月期のGDP

FOMCは金融政策やフォワードガイダンスの変更は予想されておらず、声明・議長会見とも早期の緩和解除に否定的なハト派トーンとなる見通しです。

米国債利回りとドルにとって圧迫材料となることはあっても、プラスに働くことはなさそうです。

一方GDPは前期比年率で+6.6%と高い伸びが予想されており、アトランタ連銀のGDPNowでは+8.3%とさらに高い予想が出ています。

アトランタ連銀GDPNow

アトランタ連銀GDPNow

ただし今月に入ってからの調整局面では、強い数字に素直に反応せず、それが逆に失望売り・見切り売りを誘発してしまうパターンが多く見られます。

もし強いGDPが出ても買われないと、むしろ一段安のきっかけとなってしまうかもしれません。

今週も慎重スタンスを維持し、さらなる調整に備えておくべきと考えます。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
タイトルとURLをコピーしました