【新型コロナウィルスによる混乱】2020年3月4日

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

ご挨拶

FX学園をご覧の皆様、こんにちは。

今日から当サイトで為替相場に関するコラムを連載することになりました、「マーケットの語り部」こと雨夜恒一郎と申します。

これから毎週水曜日に、現在為替市場で何が起こっているのか、市場では何が注目されているのか、そしてわれわれ投資家はどのようなスタンスで臨むべきなのか、初心者目線で分かりやすく解説していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

一週間のハイライト(2月27日~3月4日)

まさに嵐のような一週間でした。

新型コロナウィルスの感染が欧州や米国にも拡大したことを嫌気して、世界中の株式市場が急落。

NYダウが昨年6月以来の水準へ売り込まれ、VIX指数(ボラティリティーインデックス)が2018年2月以来の水準まで跳ね上がると、為替市場ではリスク回避の円買いが殺到し、ドル円は一時106円台まで下落し、年初来安値を更新しました。

NYダウ 出所:NetDania

VIX指数は米国個別株のオプションのボラティリティーを指数化したもので、市場で不安心理が高まると上昇することから、別名「恐怖指数」として知られています。

VIX指数 出所:StockCharts.com

この危機的状況に対し、G7財務相と中銀は電話会議を開き、米FRBは0.5%の緊急利下げを実施しました。

しかし株式市場では利下げがほぼ織り込み済みだったため、発表直後米国株はむしろ材料出尽くしで下落。

為替市場では米国金利低下がドル売り材料ととらえられ、ドルは全般に売られる展開となっています。

株式市場は落ち着きを取り戻しそう

さてここからの相場をどう読むかですが、まず株式市場は徐々に落ち着きを取り戻していくと見ています。

新型コロナウィルスの感染拡大は、震源地の中国本土では沈静化しつつあり、新規の感染者数は減少しています。

中国以外の地域では感染者数は依然増加中で、特にイタリアの感染者が2500人あまりと多いのが気になりますが、中国の新規感染者数がおよそ半月で減少に向かったことを考えると、今月中旬あたりにはピークアウトする可能性があります。

中国の新規感染者数はほぼゼロに 出所:日本経済新聞

FRBは今週異例の緊急利下げに踏み切りましたが、今月17・18日に開催されるFOMCではさらに追加利下げがあるとの見方が浮上しています。

利下げ余地が乏しい日銀とECB(欧州中銀)もできる限りの資金供給を行い、「協調」ムードを演出するでしょう。米国株は配当利回りスプレッドから見てもすでに割安圏に入っており、パニックさえ収まれば急反発の可能性もあります。

また過去の経験則から言うと、VIXが50%というのは恐怖のピークであり、セリングクライマックスであった可能性が高いと思います。

私は2月28日の安値24700ドル近辺が当面のボトムではないかと見ています。

リスク回避の円高は長続きしない

ではここからの為替相場をどう読むか。そもそも私は、日本中で感染が拡大しオリンピックの開催すら危ぶまれる中で、「リスク回避の円高」というのは間違っていると思っていますが、相場は美人投票(自分ではなく世間がどう思うかが大事)であり、市場は過去の経験則(リーマンショックも東日本大震災も円高だった)を重視しますから、これは仕方がない。

トイレットペーパーがなくなることはないと頭では理解していても、実際店頭からトイレットペーパーがなくなると困るので買いだめをするのと同じことです。

しかしトイレットペーパーの不足もやがて解消するように、理に適っていない相場が長続きするはずはありません。

米国株式市場が落ち着きを取り戻し、パニックが終息すれば、リスク回避の円買いが剥落し、ドル円は急変動前の中立ゾーンである109円前後に戻っていく可能性が高いと見ています。

急変動前の中立ゾーンは109円台 出所:NetDania

スタンスは打診買い

米国10年債利回りが1%を一時割り込むなど、日米金利差が急速に縮小している中で、ドル円を買えるのかという議論はもちろんあるでしょう。

ですが、パニックの直後にV字型回復し、振り返ってみたらあれが絶好の買い場だったという事例は枚挙にいとまがありません。

米国の著名投資家ジョン・テンプルトンは、「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」との格言を残しています。

現在は悲観の中、つまり米国株やドル円を割安で買うことができる絶好のチャンスかもしれません。

連載第一回目の今回、スタンスは「打診買い」で臨みたいと思います。

注:もちろん何が起こるかわからないご時勢ですから、大けがを防ぐためのストップロスを置くことは言うまでもありません。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。
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