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【ジャクソンホール会合でドル上昇へ】 2020年8月26日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(8月19日~25日)

ドル円は105円を割り込むことなく106円台半ばへ反発する一方、ユーロドルは1.19ドル台後半から1.17ドル台へ下落するなど、ドルが全体に買い戻される展開でした。

きっかけとなったのは、19日に公表されたFOMC議事要旨(7月開催分)でイールドカーブコントロールに否定的な見解が記されたことでした。

イールドカーブコントロールとは、短期金利のほかに長期金利の誘導目標を設定し、イールドカーブ全体を管理しようとする政策で、長短金利操作とも呼ばれ、日銀が現在実施している異例の緩和政策です。

FRBの次の一手は?

FRBはかねてマイナス金利の導入にも否定的で、どうやらこれ以上金利を引き下げる政策は考えていない模様です。

というのも、米国では銀行預金と並んでMMF(マネーマーケットファンド)が家計に深く浸透しており、仮にマイナス金利導入でMMFの利回りがマイナスになると、大きな混乱が生じる可能性が高いからです。

また米国は海外の投資家に米国債を買ってもらうことで貿易赤字・財政赤字をカバーしていますが、イールドカーブコントロールで米国債利回りがこれ以上下がってしまうと、海外の投資家に米国債を買ってもらえなくなってしまいます。

FRBが次の一手として考えているのは、追加緩和策ではなく、どうやらフォワードガイダンスの強化のようなのです。

フォワードガイダンスとは、政策金利を一定期間引き上げないと明示し、場合によっては利上げ解禁のための必要条件(インフレ率など)を明示するものです。

ジャクソンホール会合

そこで市場が注目するのは、27・28日に開催されるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム、いわゆるジャクソンホール会合

しばしばFRB議長から重要な政策変更のヒントが示される注目のイベントです。

今年の会合は新型コロナウイルスの影響でオンライン形式となり、その模様はストリーミング配信されます。パウエル議長の講演は米東部時間で27日の朝、日本時間では午後10時10分から始まります。

FRBはかねて政策戦略を見直し、目標をより長期に変更することを議論しています。

今回のパウエル議長の講演はその中間報告となる可能性が高いと思われます。

7月29日に公表されたFOMC声明では、「経済が最近の出来事(コロナ禍)を乗り切り、雇用最大化と物価安定の目標を達成する軌道に乗ったと確信するまで、この目標誘導レンジ(実質ゼロ金利)を維持する」とするフォワードガイダンスらしきものが記されていますが、これをより具体的な数値を使って強化する案が有力視されています。

たとえば、インフレ率がFRBのインフレ目標である2%近辺で安定的に推移するまで、ゼロ金利を維持すると約束し、インフレ率が一時的に2%を超えたとしても直ちに利上げはしないという条項(オーバーシュート型コミットメント)をつける。

市場は当然、相当長い期間ゼロ金利が続くと確信する一方、長い目で見ればインフレ期待が高まるため、長期金利が上昇し、イールドカーブがスティープ化することになるでしょう。

米国株式市場はさらに上昇へ

ゼロ金利の長期化も、インフレ期待の醸成も、株価にとっては好材料ですから、米国株式市場は好感して上昇する可能性が高いでしょう。

そうした見方を先取りしてか、米国株式市場ではS&P500やナスダックが連日高値を更新中で、NYダウも新高値まであと1300ドルくらい。

コロナ新規感染者数の減少やワクチン開発期待もありますので、更新も時間の問題ではないでしょうか。

結論:ドル買い

  •  FRBの次の一手は追加緩和ではなくフォワードガイダンスの強化
  •  ゼロ金利長期化とインフレ期待醸成でイールドカーブがスティープ化へ
  •  株式市場はさらに上昇へ

この流れで考えると、金利先安観の後退でドルは上昇する可能性が高く、株高・リスクオンで円は弱含みの可能性が高いと思います。

したがって、ドル円は強気スタンス継続でいいと思います。

8月は円高になりやすいというアノマリーに基づいて今月ドル円を売った向きが、月末をにらんでドルを買い戻せば、レンジの上限と見られている107~108円への反発も十分ありうるでしょう。

またドルが全体に反発する中で、これまで上昇幅が大きかったユーロにも調整圧力がかかると見ています。

IMM通貨先物の取り組みを見ると、投機筋のユーロの買い越し(ドルショート)が約20万枚と過去最大規模に膨れ上がっており、ポジション的にもユーロの下落余地が小さくないことを示唆しています。

ユーロドルが1.17ドル台を割り込んで急落するリスクも想定しておくべきでしょう。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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