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【大局観を持つことが大事】2021年4月12日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(4月5日~9日)

前週に発表された米国3月の雇用統計が強い結果となったにもかかわらずドルの上値が重かったことから、利益確定・手仕舞いのドル売りが強まり、週初から110円台を割り込む展開

米国債利回りの上昇が一服し、10年債利回りが1.74%から1.63%まで低下する中、ドル円も一時109.00円まで下押ししました。

一方米国株式市場は依然好調が続き、NYダウは33800ドルと最高値を更新して越週。ワクチン接種の加速で夏に向けて経済活動の正常化が進むとの期待が継続しました。

ドル円も109.00円付近ではサポートされ、109.96円まで反発する場面もありました。

強い経済とインフレ

先週発表された3月のISM非製造業景況指数は63.7と予想の58.5を大きく上回り、統計開始以来最高を記録。米国経済はコロナ関連の制限の緩和でペントアップディマンド(繰延需要)が解き放たれ、予想を上回るブームを迎えている感じです。

米ISM非製造業景況指数、3月は過去最高-受注と業況が快調
米供給管理協会(ISM)が発表した3月の非製造業総合景況指数は、統計史上最高となった。業況と新規受注の指数がともに過去最高となり、全体の数値を押し上げた。

米国金融界重鎮であるJPモルガンのダイモンCEOは、先週発表した年次報告書に添えた株主への書簡で、高い経済成長と緩やかな金利上昇が併存する「ゴルディロックス(適温経済)」の長期化を予想する一方、変異ウイルスの流行とインフレ高進のリスクに備えるべきだと述べました。

ダイモン氏、経済ブーム「2023年にかけて容易に続く可能性」
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)収束に伴い米経済が持ち直し、少なくとも2年間は好況が続くと楽観している。

実際、先週発表された米国3月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で+4.2%と2011年以来の大幅な伸びとなりました。食品・エネルギーを除くコアも+3.1%と2%を大幅に上回っています。昨年のパンデミック初期のインフレ低下を基にしたベース効果があったとはいえ、インフレ懸念が高まっていることは確かです。

米生産者物価、予想の2倍の伸び-インフレ圧力引き続き強まる
米生産者物価指数(PPI)は3月に伸びが加速し、市場予想を上回った。価格上昇は広範に及び、経済全般で基調的なインフレ圧力が引き続き強まっていることが示唆された。

明日13日に発表される3月の消費者物価指数(CPI)は総合が前年同月比+2.5%、コアが+1.5%という予想が出ていますが、PPI同様上振れる可能性があり注目です。

パウエルFRB議長は先週の講演で、「景気回復は不完全であり、一時的な物価上昇は持続的なインフレではない」と依然慎重姿勢を示していますが、市場では早期のテーパリング(資産購入の縮小)やゼロ金利解除の観測が払しょくされません。

ドル金利先物市場は、来年中の利上げ開始をほぼ確実と予想しており、2024年初めまでに3回の追加利上げを織り込んでいます。

[FT]米国債市場、22年米利上げを織り込み始める(写真=ロイター)
米国の経済が回復歩調を速めるなか、市場では米連邦準備理事会(FRB)が来年にも利上げに踏み切るとの見方を織り込み始めた。しかしアナリストの間では、利上げ時期を早めるのは「前のめり」過ぎると警告する声も出ている。 最近のデータでは労働市場が力強い回復を示し、先行指標もサービス業と製造業の両方で急速な(景気の)伸びを示して...

FRBは今のところ2023年末までゼロ金利を維持することを示唆していますが、この夏にかけて失業率がさらに低下し、2%以上のインフレが定着するようなら事情も変わってきます。

市場が予想するインフレ率(ブレークイーブンインフレ)は現在2.32%です。

大局観はドル高

ワクチン接種の加速とコロナ終息期待、経済正常化、インフレ懸念、利上げ観測・・・これらから導き出されるのは、「米国株高・金利上昇・ドル高・円安」という相場観にほかならず、これが今後数か月の「大局観」ということになります。

自ら考え、裁量でトレードする者にとって最も大事なことは、「大局観」を持つことです。大局観に反するポジションを取らないこと。そして大局観に反する動きは短期的調整であり、逆張りエントリーの好機ととらえることです。

ドル円は先々週110.97円の高値を付けたあと反落していますが、これがまさに短期的調整であり、先週の安値109.00円まで約2円下げたことで、値幅的にも期間的にもいいところまできたと考えています。

テクニカルにも、一目均衡表の基準線(下チャートの赤い線)まで下落したところでサポートされており、売り一巡の可能性を示唆。RSIも「超買われ過ぎ」を示す80から中立の50台まで低下しており、調整が進んだことがうかがえます。

今週は押し目買いスタンスで臨むべきと考えます。

ドル円日足一目均衡表とRSI

ドル円日足一目均衡表とRSI

米国経済指標と日米首脳会談

今週は米国の重要経済指標の発表が目白押しで、前述の3月CPIのほか、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、ニューヨーク連銀製造業景気指数、ミシガン大学消費者態度指数など4月の先行指標が注目です。

強い数字が続けば、米債利回り上昇・ドル高の流れが再開する可能性が高いでしょう。

今週の米国指標

今週の米国指標 出所:外為どっとコム

また16日にはバイデン政権発足後初の対面首脳会談である日米首脳会談が開催されます。

先週の当レポートでも述べましたが、日米の緊密な同盟関係が強調される一方、円安気味の為替レートに言及がなければ、ドル円の買い安心感が強まることになるでしょう。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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