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【ドル円ついに110円を突破!「ワクチントレード」で112円を目指す】2021年3月31日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(3月24日~30日)

ポジション調整で108円台半ばまで軟化していたドル円ですが、コロナワクチンの接種進展による経済正常化期待や株高・リスクオンの流れが再開し、再び上値を試す展開に。

節目の110円の手前では足踏みがしばらくあったものの、大きく下押しする動きもなく、昨日30日には一気に110円を突破すると、損切りを巻き込みながら110.43円まで急騰。

バイデン大統領がワクチン接種を当初目標の倍の2億回を目指すと表明したことや、31日にも3兆ドル規模のインフラ投資計画を発表すると報じられたことがきっかけとなりました。

そして本日31日もドル買いの流れは止まらず、月末の実需フローも巻き込んで一時110.96円まで上昇しています。

先週の当コラムでは、「米国金利の上昇、ひいては日米景況見通しの格差を背景としたドル高局面はまだ終わってはおらず、少なくともパンデミック前の水準である110~112円のゾーンまでは上昇余地がある」として押し目買いスタンスを唱えましたが、まさにそのような展開となりました。

ワクチントレード

各国のコロナワクチンの累計接種回数(3月30日時点)を見てみると、米国が約1億4500万回でトップ。

国民100人当たりの接種回数では43.9回に上ります。

これに対して日本はわずか95万回にとどまっており、100人当たりでは0.8回と主要国中断トツのビリとなっています。

参考データ:日経新聞

このほか英国は接種が進んでおり100人当たり51.7回。

欧州はおおむね15~17回、カナダは14.4回、オーストラリアが意外に低くて2.1回となっています。

ワクチンの接種率はコロナ終息時期と当然相関があると考えられますから、ワクチン接種率が高い国の通貨を買い、低い国の通貨を売る戦略は合理性があると言えます。

実際、現在の為替市場では、ドルとポンドが強く、ユーロや資源国通貨が弱く、円は最弱となっていますので、まさに「ワクチントレード」が進行していると言えます。

日本で接種率が高まるのは早くて夏以降で、今のペース(1日5万人?)にとどまるなら数年かかってしまうかもしれません。

現在第4波が来ていると見られますが、7月にはオリンピックもありますし全く予断を許さない状況です。

一方バイデン政権は大統領就任100日目にあたる4月末までに2億回を目指しており、向こう3週間以内に成人の90%にワクチン接種の資格が発生する見通しです。

米国はうまくいけば7月4日の独立記念日に「コロナからの独立」を宣言できるかもしれません。

コロナワクチン接種の進展に関して日米は全く対照的であり、ドル買い・円売りのワクチントレードは当面有効と考えています。

3兆ドルの新経済対策

今最も注目されるのは、バイデン政権が今日にも発表するという3兆ドル規模の新たな経済対策です。

今月成立した1兆9000億ドル規模の経済対策は主にコロナ対策でしたが、今回は道路や鉄道、電気自動車の充電施設、送電網などインフラ投資が中心となる見込みです。

これは良い意味(景気回復期待)でも悪い意味(財政赤字拡大)でも金利上昇要因です。

一時1.60%付近まで低下していた米国10年債利回りは現在1.73%と再び上昇基調にありますが、今週中にも1.75%を突破し、次の節目2%を目指す展開となるでしょう。

金利上昇と株高が共存

金利上昇は株式市場にとっては逆風であることは確かですが、今年に入ってから米国株式市場は3度の調整局面を経ながらも結局は高値を更新してきたのも事実。

コロナ克服期待・景気回復期待が高まったからこそ金利が上昇するわけであり、好景気なら債券市場から株式市場に資金が移動することにより、金利上昇と株高が同時進行できるのです。

米国株式市場は一度10年債利回り1.75%を経験して目が慣れていますので、ここから次の節目までは金利上昇と株高が共存できるはず。

その場合ドル円は、日米金利差拡大を受けたドル買いと、株高を受けた円売りの2つの歯車が噛み合い急上昇となる可能性が高い・・・というか今まさにその動きになっています。

当面は「米国金利上昇・株高・ドル円上昇」というゴールデンタイムが続くと予想します。

強い米国雇用統計見越したドル買い

さらに今週金曜日には米国3月の雇用統計が発表されます。

失業率は2月の6.2%から6.0%へ低下が予想され、非農業部門雇用者数+37.9万人から+63万人と大幅な加速が見込まれています。

今のセンチメントや流れからすると、強い数字なら素直に好感してドル円はさらに上昇する可能性が高いと思います。

ただし週末はキリスト教圏ではイースター(復活祭)休暇にあたることから、指標発表より前に強い数字を先取りしたドル買いの仕掛けが始まるかもしれませんし、現在のドル買いはそうしたフライング気味のドル買いが一部含まれているのかもしれません。

ドル円はパンデミック前後の戻り高値である112円を目指す展開と見ており、押し目買いスタンスを継続します。

お知らせ

4月より当コメントの配信日が月曜日朝に変わります。

どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから

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