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【「バイデンでも株高」は都合よすぎる解釈】2020年10月14日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(10月7日~14日)

ドル円は依然方向感が乏しく、105円台中心に一進一退の展開が続きました

トランプ大統領が議会に対して、1200ドルの特別給付金や、航空業界・小規模企業への的を絞った支援策を協議するよう要請したと伝わると、株高・円安の流れで一時106.11円まで上昇。

しかし株高・リスクオンでドルが他通貨に対して全般に売られたことから、ドル円の上値も伸びず、米国市場がコロンブスデーで薄商いのなかポジション調整による円買いが優勢となると、一時105.24円まで下落しました。

105円台は当面の落ち着きどころか

ここしばらくのドル円相場を振り返ってみると、先々週は、トランプ大統領のコロナ感染、入院を受けて一時104.96円まで下落。

先週はトランプ大統領が退院し、米国株式市場が大幅に反発したことを受けて、一時106.11円まで上昇しましたが、結局105円台半ばと元の水準に収まった形です。

このあたりが現在の落ち着きどころということなのでしょう。

大統領選まで3週間を切りましたので、ここまで来たら選挙結果を見極めたいムードとなりそう。

となると、しばらく現状水準での膠着が続くかもしれません

バイデン氏のリード広がる

さてその大統領選挙ですが、いよいよ選挙戦は終盤を迎えます。

トランプ大統領は検査の結果、完全にコロナ陰性と発表。

現在フロリダやペンシルベニアなど激戦州を相次いで訪問しています。

集会では「非常に力強い感覚」と豪語し、ウイルスを克服したと主張しています。

しかし、コロナを軽視し、ホワイトハウスをクラスターとした張本人であるトランプ氏の再選は厳しいことに変わりはありません。

今さかんに取り上げられている政治ニュースサイト、RealClearPoliticsによると、各種の世論調査では、トランプ氏はバイデン氏に10ポイント前後のリードを許しており、賭け率ではバイデン65.1に対してトランプは35.1となっています。

世論調査ではバイデン氏が10ポイントリード

賭け率は65対35

いわゆる「隠れトランプ支持者」(世論調査ではトランプ支持と回答しないが、実際にはトランプに投票する人々)が多く存在することを差し引いても、選挙戦終盤でのこの差を挽回することは難しいでしょう。

株式市場は都合よく解釈

市場としてはトランプ敗退を織り込みに行けばよいはずですが、NYダウは現在2万8800ドル台と強含みで推移しており、トランプ氏入院前の水準を大きく上回っています。

恐怖指数VIXも26ポイントと8月下旬以来の低水準で推移しており、市場参加者の不安感は高まっていないことを示しています。

少し前までは「トランプ再選=株高継続」、つまり「トランプ敗退=株価に逆風」と考えられていたはずですが、これはどうしたことなのか?

市場では、民主党政権による巨額の財政支出がマクロ経済にプラスという理屈で、バイデン大統領誕生でも株高という見方が強まっているそうです。

また中国に甘い民主党が政権を取れば、トランプ大統領が招いた米中冷戦も緩和するとの見方もあるようです。

しかしトランプ再選を望んでいた市場が、トランプ劣勢が伝わると、「バイデンでも株高」と180度宗旨替えするのは、あまりに都合よい解釈で、市場参加者がしばしば陥る「材料のいいとこ取り」=「バブルの進行」と思えてなりません。

株価がバブルに突入しているとき、市場関係者は株高を正当化する屁理屈をひねり出すものなのです。

大統領が決まらないリスク

加えて厄介なのは、先週も述べましたが、11月3日の大統領選でバイデン氏が勝利した場合でも、トランプ陣営は結果の無効を訴えて法廷闘争に打って出る可能性が高いこと。

またどちらが勝つにしても、結果が僅差だった場合、両陣営がともに勝利宣言を発して収拾がつかなくなる可能性もあります。

最悪の場合、次の大統領がどちらなのかわからないまま年を越すリスクも小さくないのです。

大統領選をめぐる不透明感は一段と高まっており、決して楽観できる局面ではありません。

筆者から見て、この時期、この政局不透明感の中での株高はかなり違和感があります。

株式市場はあまりに楽観的過ぎるし、何かをきっかけに(たとえばワクチン開発期待の後退とか)われに返って急落に見舞われても不思議はないと思えます。

人民元の上昇

人民元が対ドルで2019年以来1年半ぶりの高値を付けているのも気になります。

中国に強硬なトランプ氏が敗退すれば、中国が再びハイテク覇権争いで台頭すると見ているのか?いち早くコロナを封じ込めた中国へ投資資金が流入しているのか?

いずれにせよ人民元上昇は今やドル安要因であり、マイルドながら円高要因となります。

人民元は対ドルで1年半ぶり高値 出所:NetDania

まとめ

  • トランプ大統領の再選は厳しくなった
  • 新大統領が年内に決まらないリスクもある
  • 不透明感のわりに株式市場は楽観的過ぎる
  • 中国人民元高はドル安・円高の前兆かも

以上を踏まえると、ドル円の潜在的な下落余地は小さくなく、106円近辺からは戻り売りスタンスで臨むのが賢明と考えます。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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