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【米国債利回りの上昇とドル反発は本物か?】2021年1月13日号

雨夜 恒一郎氏ウィークリーコメント FXレポート

一週間のハイライト(1月6日~12日)

1月6日の安値102.59円をボトムにドルの買い戻しが優勢となり、一時104.40円まで反発しました。

米民主党が上下両院を制し、「トリプルブルー」が確実となったことや、複数のFRB高官が資産買い入れの減額(テーパリング)に言及したことを受けて、米国債利回りが急上昇。

これがドルの買い戻しのきっかけとなりました。

なお米国12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が-14万人と予想外の減少となりましたが、市場の関心が追加経済対策に向いているため、影響は限定的でした。

米国10年債利回りが急上昇

ドル高は本物か?

ドル円は先週水曜日から1週間で2円近い反発。

米国10年債利回りも抵抗線だった1%を突破し、一時1.18%近辺まで上昇しました。

果たしてこの金利上昇とドル高は本格的な上昇局面の始まりなのでしょうか。

筆者は、いずれも持続的な上昇局面に入るとは考えにくく、一時的なポジション調整に終わると考えています

コロナ禍はまだ続く

まずコロナ禍ですが、終息が見えてきたわけでもなく楽観は禁物です。

ワクチン接種が始まってはいますが、一方で変異種の感染拡大で感染者数は激増。

米国の感染者数は一日30万人に上り、イギリスも6万人を突破しました。

厳しいロックダウンでビジネスは停滞し、実際経済や雇用への影響も出始めました。

今月下旬には米10-12月期のGDP速報値が発表されますが、前期の+33.4%(前期比年率)から一けた%まで減速すると予想されており、次の1-3月期はこのままいくとマイナス成長の可能性も出てきます。

コロナワクチンが安全かつ有効であると確認され、パンデミックの終息が見えてくるとしても、早くて今年の夏、へたをすれば来年になる可能性もあります。

これまでコロナの威力が常に大方の予想を上回ってきたことを考えると、むしろこれからが正念場かもしれません。

先の見えないコロナ禍が今年もまだまだ続いていくとすれば、パンデミック発生以来続いてきた下落トレンドが簡単に終了するとは判断できないのです。

米国債利回りの上昇は

今月に入ってからの米国債利回りの上昇はどうでしょうか。

確かに民主党が大規模な景気対策に着手すれば、景気回復期待から金利は上昇するでしょう。

またエバンス・シカゴ連銀総裁が述べたように、状況が好調に推移すれば、今年の終わりから来年初めにかけて「ある種のテーパリング」を行うかもしれません。

FRBによる長期債の買い入れが減額されるとなれば、当然長期金利は上昇します。

しかし、いま市場が織り込み始めているのは、景気回復よりも実はインフレ懸念かもしれないことに注意が必要です。

市場が予想するインフレ率については前回のレポートで述べましたが、やはり2%を突破してきました。

政府が大規模な財政出動を行い、中央銀行が間接的に国債を買い入れることにより財源を賄う。

一昔前は禁じ手だった財政ファイナンスであり、いわば紙幣の大増刷です。

現金の価値は希薄化し、やがてインフレ懸念が高まります。

米国債利回りの上昇がインフレ懸念によるものであるならば、もはやドルの買い材料とは言えなくなります

名目の利回りからインフレ期待を引いた実質金利で見ると、米国は主要国で断トツのマイナスとなるからです。

まとめ

  • ワクチン普及にはまだ時間がかかり楽観は禁物
  • 欧米のロックダウンで再び景気後退も
  • 米国のインフレ懸念がジワリと高まっている
  • 米国債利回りの上昇はドル買い材料とは限らない

したがって、今回のドルの反発は上昇トレンドにつながっていくものではなく、あくまで一過性のポジション調整にとどまる可能性が高い、という予想に行きつきます。

ではドル円の戻りのめどはどのあたりになるでしょうか。

一番近い抵抗線は、一目均衡表の先行スパンが横たわっている104.30円から104.65円のゾーンです。

この水準では戻り売りが出やすく、ハードルはかなり高いでしょう。

ドル円日足一目均衡表

またドル円は昨年6月以降一貫して高値・安値を切り下げる弱気トレンドが続いていますが、これがまだ続いていると仮定すれば、昨年11月に付けた戻り高値の105.65円近辺が最も重要な抵抗線になります。

ここを突破するようであれば、いよいよ弱気トレンドの終了、強気トレンドへの転換を考える必要が出てきますが、今のところその可能性は非常に低いと考えます。

抵抗線近くでの戻り売りスタンスが引き続き有効となるでしょう。

雨夜恒一郎氏のプロフィール

雨夜恒一郎氏
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報や分析記事をFX会社やポータルサイトに提供中。ラジオNIKKEIなどメディア出演やセミナー講師経験多数。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、人呼んで「マーケットの語り部」。雨夜恒一郎氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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