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トレードノートの活用法

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トレードノートの活用法

さくら
さくら

自分のトレードをノートに記録している方はどのぐらいおられるでしょうか?

トレードで失敗したとき、あるいはトレードがうまくいったときなど、そのトレードの要点を記録しておくと、トレードで失敗したときや、うまくいきすぎているときに、自戒の意味を込めて、ノートを見ると、新しい発見につながることがあります。

自分のトレードスタイルを見つけるのに不可欠

FXをするにあたって、トレード環境や条件は人それぞれで違います。

トレードのための証拠金を100万円用意できる人もいれば、10万円しかつぎ込む余裕のない人もいます。

しかし、それは個人がおかれた環境が影響しているので、どちらが正しい、どちらが悪いといえるものではありません。

証拠金についていえば、トレードは一種のギャンブル的な要素をはらんでいることは事実ですから、生活資金ではない、あくまでも余剰資金をつぎ込むことが絶対的な原則です。

そしてトレードがうまくいっておればいいのですが、負けがこんできたら、生活資金にまで手を伸ばす人が少なくありませんが、それは絶対にやめてください。

自分だけでなく、家族が不幸になります。

と、テーマが少しずれてしまいましたが、証拠金ひとつをとってみても、それぞれが違うように、トレードスタイルも個々人で違います。

100人の投資家がいたら100通りのトレードスタイルがあります。

そして、トレードをする目的は、利益を上げることです。

そのためには、値動きに沿った的確なトレードを心がけることと、自分なりの勝てるトレードのパターンを確立することだと思います。

そこで、自分のトレードを確立するのに役に立つのが、「トレードノート」です。

ノートをつけることは、一見、面倒くさいように思えますが、ノートをつけることによって、自分のトレードスタイルを分析でき、何がいけなかったのか、何がよかったのかをはっきり知ることができます。

「トレードノート」というのは、ノートをつけることが目的ではありません。

ノートをつけることによって、自分のトレードを進化させる、利益をより生み出すトレードを確立するための、有効的な手段だと思ってください。

成功者はノートをつける

世の中の成功者といわれる人たちは、ノートをつけている方が多いと聞きます。

なかには、その日にあったことをこと細かく書いている人もいます。

有名なところで言えば、サッカーの中村俊輔さんは、「夢をかなえるノート」という本を出版していますし、本田圭佑さんは高校のときからノートをつけています。

中村さんがノートをつけるきっかけとなったのは高校時代で、メンタルトレーニングのコーチからノートをつけることを薦められたそうです。

その内容というのは、試合前は、こんなプレイ、あんなプレイはどうかといったシミュレーションをノートに書き記し、実際の試合では自分が思い描いたプレイを心がけたそうです。

そして、試合後は、自分のプレイぶりを見直し、よかった点、悪かった点、よかったプレイができた理由、悪かったプレイになった理由などを綴ったそうです。

そうやって毎試合ごとにノートをつけていくことで、どんな場面でどんなプレイをすることがチームの勝利に結びつくかが徐々にですが、見えてきたそうです。

また、『投資苑』の著者であるアレキサンダー・エルダー氏は次のように述べています。

まず日記をつけ始めなさい。それにはあなたのすべてのトレードの記録とそのトレードを始めて、手仕舞った理由を記入するのです。成功と失敗の繰り返されるパターンを見いだすのです。過去から学ばない人は失敗を繰り返すことを避けられません

『FXトレーディング』の著者であるキャシー・リーエンさんはその著書のなかで、次のように述べています。

トレーダーとして成功するために必要なことは、値動きを100%完璧にいくつでも予測できる打ち出の小槌のような指標を見つけることではなく、規律を身につけることです。プロのトレーダーとして成功するための第一歩として、取引日記をつけることです

いくら記憶力が優れた人であっても、すべての出来事や思ったこと、感じたことを覚えられるわけがありません。

ノートに記録しておかないと、すぐに忘れてしまうのが当たり前といっていいでしょう。

電車のなかで周りの風景を見て感じたこと、あるいは友人や知人と会話をしていてふと浮かんだことなど、すぐにメモをしなかったために、「あのとき、いいことを思いついたんだけど、何だったかな」「思い出せない」といって、悔しい思いをした経験が誰でも一度や二度はあるでしょう。

記録というのは、考えてみれば、本人の思いや感じたことを永遠に残しておくデータベースのようなもので、あとから何度でも読み返して、いろいろなことを思い出させてくれます。

だから、トレードで損切りをしなかったために大損したときに、なぜ、そのときに損切りをしなかったのか、そのときに何を思っていたのかを、記しておけば、損切りをしようかどうか迷ったときに、損失を出したときの気持ちを、そのときのノートを読み返すことによって思いだし、損切りをするかどうかの迷いが消えることがあるかもしれません。

とにかく、何でも思ったことをノートにつける、それが、トレードを失敗して、「馬鹿、バカ、バカ」といった殴り書きでもかまいません。

あとで読み返してみたら、「あのとき、こんな心理状態だったんだ」と自分自身の状態を分析することもできます。

とにかく、本気で何かを身につけようと思ったら、まず、ノートに記録する習慣をつけましょう。

だまされたと思って、まだ、ノートをつけていない人は、ノートをつけ始めてみてください。

きっと、ノートをつけ続けることの効用がわかるはずです。

何を記入するか

多くのトレーダーがまず記入することは、その日のファンダメンタルズです。

つまり、経済指標の発表スケジュールや、予測値、前回の数字、そして、数値結果、さらに、そのときに取引通貨ペアはどう動いたのかなどです。

できれば、1ページに1日の出来事がまとめられたほうが、あとから読み返してみても、読みやすくて便利だし、役に立ちます。

それも、時系列でまとめてあったら、よりわかりやすくなるでしょう。

経済指標は発表する日時があらかじめ決まっています。

ただ、各国の大統領や首相、中央銀行の総裁など要人の発言や講演は不定期なので、それはその都度確認するほかはありません。

あるトレーダーの記録

ではここで、ある一人のトレーダーの「トレードノート」について、どんなふうに利用しているのかを紹介してみましょう。

仮にAさんとします。

Aさんは四国のある県の県庁所在地に在住している、主婦トレーダーです。

お子さんは二人いて、高校生と中学生ですから、もう手がかかることはあまりありません。

ひょんなことからFXと出合い、FXトレードが性に合っていたのか、トレード歴は7年を超えています。

ふつう、主婦や女性がFXトレードをしていると、以前ですと、友人や職場、家族に知られたくないという人が多かったのですが、最近はトレードをしていることを隠す人は少なくなりました。

Aさんも家族公認のFXトレーダーです。

トレード日記をつけ始めたのは、あるFXセミナーに出席したときに、講師の方がトレードの記録をつける大切さを熱心に話していたから、自分もトレードノートをつけるようになったそうです。

今では、トレードノートも何十冊と貯まっていて、時折、見返すようにしているそうです。

さて、本題に入ります。

Aさんの一日は、家族の朝食を用意することから始まります。

家族の朝食を用意したあと、まずは、当日の経済指標の確認をします。

Aさんが経済指標を確認するのは、「羊飼いのFXブログ」か「Forex Factory」あるいは取引をしているFX会社のホームページが中心となります。

まず、その日の経済指標で重要なものを書き出すか、時間のある時には、経済指標を印字して、ノートの1ページの右端に張るようにします。

左側はあげておいて、その指標が発表になったときの、通貨ペアの動きなどについて、記入をしていきます。

ですから、経済指標を見るときにも、市場の予測はどうなっているかを必ず確認します。

そうやって予測値と実際の結果を比較しながら、予測値と結果がどのぐらい乖離していたら、通貨ペアのレートはどのぐらい動くのかを、その内容を、経済指標の項目に線をつないで、メモ書きしておきます。

また、重要な経済指標の場合には、取引をしていない通貨ペアの動きも記入するようにしています。

というのは、為替の世界は単独で動くということがなくて、すべての通貨ペアは関連しあっているからです。

さらに、合成通貨の場合があります。

合成通貨とは別名「クロス円」と呼ばれる通貨ペアのことです。

クロス円とは、「米ドル/円」以外の円との組み合わせの通貨ペアのことです。

たとえば、「ユーロ/円」とか「ポンド/円」「豪ドル/円」と呼ばれる、円との組み合わせの通貨ペアはすべて合成通過です。

合成通貨の場合は、その通貨そのものが独立した価値を持っているものではありません。

「ユーロ/円」は「ユーロ/米ドル」と「米ドル/円」との組み合わせでできている通貨ペアです。

ですから、「ユーロ/米ドル」が1.1000、「米ドル/円」が108円のとき、「ユーロ/円」の価格は、118.8円となります。

当然、相場は生きものですから、ぴたりとその数字になるわけではありませんが、目安としては、その計算でいいと思います。

したがって、もし「ユーロ/円」を取引しているのであれば、当然、「ユーロ/米ドル」と「米ドル/円」の通貨ペアもチェックします。

ということは、トレードノートにもそれら3つの通貨ペアの価格の動きを書き入れるといことになります。

では、例を出しましょう。

2020年4月3日の米雇用統計の日の通貨ペアの動きです。

もちろん、トレードノートのトップには、「米国雇用統計」と赤字で目立つように印をつけるか、赤いボールペンを使って記入するかのどちらかをしています。

さて、4月3日の21時30分(日本時間)に雇用統計が発表されました。

50万人の減少です(現在は季節調整済値で70万1000人の減少)。

予測は10万人の減少でした。

結果と予測の乖離値は40万人です。

かなり大きな乖離です。

ではそのときに、「米ドル/円」はどう動いたのでしょうか。

「米ドル/円」を1分足でみると、21時30分に108.399円で寄りついたあと108.408円まで上昇しましたが、すぐに押し戻されて108.248円まで下洛したあと、買い戻されて終値108.370円をつけました。

これが1分間のレートの動きで、始値と終値の差額は、わずか0.029円です。

以前の「米ドル/円」ですと、2円から3円動いてもいいような雇用統計の数字です。

しかし、結果はごらんの通りです。

では、「ユーロ/米ドル」はどう動いたのかが気になって調べることにしました。

こちらは、1.08000米ドルから1.07819米ドルとユーロ安米ドル高となっていました。

また、「ユーロ/円」は、始値117.044円をつけたあと下落して、終値117.018円でした。

このことから、「米ドル/円」と「ユーロ/米ドル」が下落すると、「ユーロ/円」も下落するという相関関係が成り立つことがわかりました。

しかし、わからないのは、非農業部門の雇用者数が50万人も減少したのに、「米ドル/円」のレートがわずかしか動かなかったことです。

その理由を探るべくAさんは経済ニュースや政治的なニュースなどを調べまくりました。

そして得た結論が、新型コロナウィルスです。

新型コロナウィルの猛威によって、アメリカの感染者数は世界一であり、全土にわたって外出禁止令が発令され、雇用不安を生み出し、工場でのレイオフが製造業を中心に起きていました。

そのため、失業者数が増加するとの見方が広まっていたのでしょう。

そのため、雇用統計が発表される前に徐々に売りポジションが積み上がり、雇用統計が発表になったときは、思ったよりも価格が下がらず、それどころからいっせいに売りポジションを解消したために、21時31分にはレートが上昇しています。

そうやって当日の雇用統計の内容をノートに記入しておくと、いろいろなことがわかってくるのです。

もう一つ例を挙げましょう。

それは、新規失業保険申請件数によって「米ドル/円」はどんな動きをするか、という検証です。

ニュース報道等ですでにご存じだとは思いますが、全米の新規失業保険申請件数が膨大な数にのぼっています。

3月19日に発表された数字では、28万1000件(3月8日~14日に申請)と通常よりもわずかに多いというぐらいでしたが、3月26日の発表では328万3000件、4月2日の発表では664万8000件、4月9日の発表では660万件と、3週会わせると実に1653万1000人が新たに失業保険の申請をしたことになります。

しかも、新規でということは、新たに職を失った人ということですから、それ以外の失業者数を合わせると、全米では職を失っている人が数千万単位でいることになります。

雇用不安は米ドル安をうむのではないかと、Aさんは事前に想定をしていましたが、実際の「米ドル/円」はどう動いたのでしょうか。

なんと「米ドル/円」は下落するどころか、上昇をしていました。

新規失業保険申請件数の発表があった4月9日、4月2日、3月26日とも、上昇幅の違いはありますが、上昇をしていました。

雇用不安の広がりと、為替相場は逆相関関係にあるのでしょうか。

だが、この時期は、アメリカ政府が景気刺激策についての方針を打ち出した時期と重なるので、その期待から米ドルが買われたとも推測できます。

いずれにしても、このような大きな、サプライズを伴った経済指標の数字と、通貨ペアの値動きの関係をノートに記入しておくことで、次の予測につながっていくはずです。

さらに、こうした為替の値動きだけではなく、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均株価や日経平均株価、原油価格、米10年物国債利回りなどの数字も、記入しておくと、為替の動きがかなり読めるようになってきます。

たとえば、アメリカの重要な経済指標の多くは21時30分(日本時間)に発表されますが、そのときの経済指標の内容がよくても、10年物国債の利回りが低下していると、米ドル安になる傾向があります。

こうしたことも、ノートをつけることによってわかってきます。

そうやって、経済指標の発表時の結果と、通貨ペアの値動きを記入し、そこで思ったことや感じたことなどを書いたり、あるいは、経済ニュースや国際政治のニュースなどで、自分で重要だと思う内容を記入しておくと、あとで読み返したときに、こんな経済的イベントがあると、米ドルは下がるのだなとか、上がるのだなとかがわかってきます。

また、FRBのジェローム・パウェル議長や、ECB、欧州中央銀行の総裁であるクリステェイーヌ・ラガルド総裁、イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁、あるいはトランプ大統領などアメリカ政府の要人などの発言もメモしておきましょう。

さらに、FRBの議事録のサマリーや「ベージュブック」の概要なども、まとめておくと、為替相場を考えるときに役に立ちます。

もちろん、トレードをしたときのエントリーや決済の状況などは当然、もれなく記入しておくと、あとで何かに困ったときや壁にぶつかったときに読み直してみると、新たな解決へのヒントを与えてくる可能性があります。

このように、重要な事実関係や自分のトレードに対する気持ち(思いや感情など)を記録しておくことで、自分のトレードスタイルが徐々にですが、確立されていくのではないでしょうか。

トレードノートは参考書

何年もトレードノートをつけ続けていると、当然ながら、ノートが貯まってきます。

そのノートは自分の取引履歴であると同時に、自分だけのFXの生きた参考書にもなります。

日々の売買の記録や、その時々の為替相場の状況、さらには、経済指標をはじめとする結果数値は、日本を含む世界経済の生き字引ともいえる存在になるといっても過言ではありません。

それだけにそのトレードノートは、この世に二つとない、貴重なものとなるはずです。

トレードにいき詰まったときや、思わぬ損失を出したときなど、トレードノートをめくりながら、同じような失敗をしたことや、同じように壁にぶち当たったときの記録を読み直すことで、その解決策として何をしたらいいかのヒントが潜んでいます。

さらに、時系列になっているため、世界経済の動きもそこに如実に現れています。

時の要人がどんな発言をしたかで、為替や経済、政治がどう変わったか、へたなニュース番組をみるよりも、はるかに役に立ちます。

たかがトレードのノートですが、されど、トレードノートです。

継続は力なりと言いますが、トレードノートをつけ続けることによって、自分の生活スタイルやモノの見方、考え方も変わってくるはずです。

いいほうに。

ポジポジ病をなくす

FXトレードで私たちは何と闘っているのでしょうか。

為替市場が勝負の相手でしょうか。

それとも外国人投資家と闘っているのでしょうか。

答えは「ノー」です。

私たちがFXトレードで闘っている相手は、自分自身の欲望や恐怖、不安です。

「お金をたくさん儲けたいという欲望」や「大きな取引をしたいという欲望」、そして、「市場がどう展開するか読めない不安」「反対方向に行ったらどうしようという恐怖」とそれぞれ、日々、闘っています。

欲望が強ければ誘惑に負けやすくなります。

そして、強い欲望は焦りもうみます。

分不相応の取引を誘発する原因にもなります。

さらに、市場の誘惑に負けるということは、常にポジションを持っていないと不安になる「ポジポジ病」の要因にもなります。

では、そうした自分自身の欲望や不安、恐怖と闘うための武器はとえいば、冷静な心、平常心です。

自分のFXトレードがどんな状態を招くことがあっても常に冷静に対応できれば、ピンチをチャンスに変えることができます。

そうしたことができるのは、冷静な対応力があってこそ、です。

その冷静な心を培い、常に平常心を保つようにし向けてくれるのが、意外と思うかもしれませんが、「トレードノート」の存在です。

トレードノートに自分のトレード手法やスタイルなどを文章にして書いて見ると、思わぬ学習効果が高まります。

そして、書いていくうちに冷静に自分自身のトレードを分析できるようになります。

そうすると、エントリーや決済をするときにも、どうしてこのタイミングでエントリーをするのか、あるいはエントリーしたのか、決済をするのか、エントリーや決済の根拠が明確に書き記されることになります。

そうすると、どうなるかと言えば、明確な根拠がない場合にはエントリーをしなくなります。

めったやたらにトレードはしなくなってきます。

つまり、「トレードが待っているぞ」「ポジションを持ちたいと思ってうずうずしているぞ」といった、市場からの誘惑をはねつけることができるようになってきます。

その瞬間が「ポジポジ病」を克服したときです。

つまり、トレードをする際に、必ず考える習慣がついてくることになります。

そうすると、感情に任せたトレードをしなくなってきます。

前述したように、トレードは自分自身との戦いの場です。

自分の欲望や恐怖、不安にうち勝ってこそ、トレードはうまくなるはずです。

そのためには、トレードノートに記録をつけることによって、自分の欲望や不安、恐怖を抱く要因がはっきりわかってきて、自分に負けないようになってきます。

自分自身の欲望や恐怖、不安に勝てるようになれば、自ずとトレードの利益はついてくるはずです。

孫子の兵法に、「敵を知り、己を知れば百戦して危うからず」という言葉があります。

自分自身の長所や欠点をよく知っていれば、ちょっとやそっとのことで負けるはずがありません。

日常生活のなかで自分自身を知る機会はいくらもありません。

そういう意味では、FXは自分自身のことを深く知る絶好の機会かもしれません。

そして、自分自身の分析に役に立つのがトレードノートなのです。

ですから、たかがノートですが、その中身は百万の大軍を相手にしても負けないという精神力や気構え、そして、常に冷静で平常心でいられる心を養成するための、大きな武器であるといっても過言ではありません。

そして、ポジポジ病に悩まなくてもよくなります。

トレードノートを書くときの法則

法則というと何か大げさに聞こえますが、そんな大げさなものではありません。

トレードノートを書く上でこれだけは抑えておいたほうがいいというものを述べてみたいと思います。

まず、「文字の汚さは気にしない」ことです。

トレードノートは人に見せるために書くものではありません。

自分だけのものですから、文字をきれいに書こうとか思わなくてもいいです。

文字がきたなくても、それは個性の一つですし、本人が読めればいいわけです。

それは、トレードで損失をだしたときには気持ちが落ちこんだり、イライラしたりして、文字も乱れるでしょう。

しかし、文字はその人の心理状態を如実に表すものですから、そのときの心理状態を知る上でも、無理をしてきれいに書く必要はありません。

次に「自分の感情を思いっきり吐露する」ことです。

ノートに文字を書くこと、つまり、自分の思っていることや感じていることを文章にすることは、一種のストレス発散にもなります。

従って、トレードノートを別な観点でいえば、ストレスフリーになるためのツールともいえます。

とくに、マイナスの感情を吐露するにはうってつけのツールではないでしょうか。

マイナスの感情になるということは、トレードで失敗をしたときです。

トレードで失敗したときは、気分が極端に落ちこむか、その逆に、損失分を取り戻そうと俄然やる気になっているかのどちらかです。

そんな気持ちのままトレードをしても、うまくいくことはありません。

かえって墓穴を深く掘ってしまうのがオチです。

そんなことにならないためにも、自分の気持ちのすべてをトレードノートにぶつけることで、きっと気分がすっきりするはずです。

ですから、「バカ! バカ! バカ!」と書き殴ってもいいです。

汚い言葉を並べてもまったくかまいません。

そのためにトレードノートは存在しているのですから。

続いて、「トレード以外のことも記録する」ことです。

トレードノートをつけることは、一種のメンタルトレーニングといっても間違いではありません。

FXトレードにおいてメンタルは重要な要素の一つです。

メンタルが強くなければ、FXではあまり勝てません。

ではどうやってメンタルを鍛えたらいいでしょうか。

メンタルが強いということは、何が起きても自分の心を制御し、冷静にものごとに対処できることです。

FXトレードでメンタルは鍛えられますが、メンタルを鍛える場はやはり、日常生活のなかにあります。

たとえば、夫婦喧嘩をした、あるいは職場で言い争いになった、友人ともめたなど、日常生活ではいろいろなことが起こります。

そして、この場合、喧嘩になったのは結果であって、そこに至るまでには原因があり、プロセスがあります。

その原因とプロセスをトレードノートに記入していくうちに、なぜ喧嘩になったのかがはっきりしてきます。

喧嘩になったときの自分の正直な気持ちも書きます。

そうやって自分の心のうちを書くことで、精神面が鍛えられていきます。

書くことで冷静になり、ものごとの善悪、真実が見えてきます。

それはとりもなおさず、自分のメンタルを鍛えることになります。

さらに、FX以外のことでは、経済的なイベントや政治的なイベント、あるいは各国の首相や大統領、中央銀行の総裁の発言なども記入しておきます。

こんな出来事のときに、誰それはこういったとか、今で言えば、新型コロナウィルスに対応するために、各国はどんな政策を国民に要請したのかなどでしょう。

次に「印象深いトレードは資料などを添付しておく」ことです。

誰でも一度や二度は印象深いトレードの体験を持っているはずです。

テクニカル分析を駆使してトレードがうまくいったとか、上昇トレンドや下洛トレンドにのって大きな利益を上げたとか、成功体験があると思います。

その逆に失敗したトレード体験も数多くしていることでしょう。

むしろ、失敗トレードのほうが多いかもしれません。

そうした記憶に残っているトレードは、今後のトレードに必ず参考になるはずです。

ですから、是非記録しておくべきです。

しかも、他のトレードとは一目で違いや重要性がわかるように、そのときに取り引きしたチャートの画像などを添付しておくのもいいでしょう。

そのチャートを見ながら、あのときはこんなことを思いながらトレードをしたという成功体験や失敗体験が自分のトレードの進化につながっていくはずです。

次に「わかりやすいノートにする」ことです。

文字は汚くてもかまいませんから、大事なことは読んでいて理解しやすい、わかりやすいノートにすることです。

だらだらと書くよりも、箇条書きにするとか、重要な部分はマーカーを使って人目をひくようにするとか、いろいろな工夫をして、見た目からでも魅力的なノートづくりを心がけてください。

こうしたトレードノートをつくり続けることによって、自分のトレードのくせなどがわかってきます。

そこで、矯正したほうがいいものは矯正し、続けていくものは続けていけばいいのです。

さらに、トレードノートは書きっぱなしではなく、時に応じていつでも見直すようにしてください。そうやって、勝てるトレーダーになっていくのです。

国会議員の今井雅人さんは、『外国為替トレード勝利の方程式』のなかで、次のように述べています。

華やかに思えるスーパートレーダーほど、実は地道な努力を欠かさず行っているものです。トレードノートをつけるということもその一つです。だまされたと思ってやってみれば、その効果がわかるはずです

さあ、あなたも今日からトレードノートを書き始めてみませんか?

辻秀雄氏のプロフィール

辻秀雄氏
ジャーナリスト。リーマンショックに世界が揺れた2008年に、日本で初めて誕生したFX(外国為替証拠金取引)の専門誌、月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。出版社社員からフリーになり、総合雑誌「月刊宝石」や「ダカーポ」「月刊太陽」「とらばーゆ」などで取材・執筆活動を行う。また、『ビジネスマン戦略戦術講座(全20巻)』などビジネス書の編集にも携わる。著書に『インターネット・スキル』『危ない金融機関の見分け方』『半世紀を経てなお息吹くヤマギシの村』など。共著に『我らチェルノブイリの虜囚』『ドルよ驕るなかれ』『横浜を拓いた男たち』など。辻秀雄氏の詳しいプロフィールは、こちらから
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