FXのアノマリー(Anomaly)とは?

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論理的に説明できない

FXトレードをしている人なら「アノマリー」という言葉を聞いたことがあると思います。

アノマリー(anomaly)とは、「ある法則・理論からみて異常であったり、説明できない事象や個体等を指す。科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む」(ウキペディアより)

ということです。

つまり、アノマリーとは人が経験したことや体験したことから、何らかの法則めいたものをつくりあげたと理解していいのではないでしょうか。

とくに、FXは、1998年から一般に開放されたので歴史はまだ20年強ですが、株式投資の歴史は古いですから、株式投資や株式相場について語られているアノマリーはたくさんあります。

たとえば、「節分天井、彼岸底」というアノマリー。

これは、すでに江戸時代から連綿と伝えられているアノマリーで、新年が開けたばかりの株式相場が上昇トレンドにのって上げ続けた結果、2月の頭には天井をうったため、3月上旬までは株式相場は落ちやすくなっているということを意味しています。

天井と底がらみのアノマリーをもう一つ。

戎天井、天神底」です。

これは催し物にかこつけたアノマリーで、前者は大阪市にあるえびす神社、後者は大阪天満宮が舞台となります。

えびす神社では毎年1月になると、十日戎が開催されます。

十日戎の時期になると相場が天井まで上昇します。

そして、大阪天満宮では7月になると天神祭が行われます。天神祭の時期を迎えると、相場は底を迎えやすいという意味です。

アメリカはニューヨークの金融の街として有名なウォール街でも、こんなアノマリーが言われています。

「5月に売り抜けろ」「感謝祭で買って新年に売れ」です。

また、故長谷川町子さんが原作といえば、かの有名な漫画「サザエさん」です。

この「サザエさん」はいまでも日曜日の夜に放送されています。

テレビ放送ですから当然、視聴率調査というシステムがあります。

景気がいいときは「サザエさん」の視聴率は良くなり、景気が悪いと「サザエさん」の視聴率は悪くなるというアノマリーを、金融関連のおかたいシンクタンクで知られる大和総研が発表したことがあります。

これらの現象は論理的に説明がつきません。

さくら
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なぜそうなるのか、「迷信だよ」と無視してもいいのですが、相場も説明できない動きが多いことから、一概にこうしたアノマリーを無視するのもはばかられてしまうのです。

FXでは「ジブリの呪い」が有名

みなさんは「ジブリの呪い」って聞いたことがありますか?

最近ではあまり聞かないかもしれません。

「ジブリの呪い」が新聞や雑誌、テレビなどマスコミの話題になったのは、2013年がもっとも多く、その3年後の2016年にも日本経済新聞で話題になりました。

そうした話題の出どころをつくったのは、日本テレビ放送網いわゆる日本テレビです。

日本テレビではいまでも毎週金曜日に「金曜ロードSHOW!(金曜ロードショー)」を放送しています。

内外の映画を中心に放送しているわけです。

その「金曜ロードショー」では、宮崎駿監督で有名なスタジオジブリが製作したアニメ作品を放送することがあります。

ここで問題になるのが、金曜日という曜日です。

FXトレーダーならもちろん気づいていると思いますが、毎月第一金曜日の21時30分(夏時間、冬時間だと22時30分)になると、米国雇用統計が発表されます。

米国雇用統計は数ある経済指標のなかで、為替相場の値動きに大きな影響を与えます。

中央銀行やIMFなどの主要金融機関の要人の発言を除けば、唯一といっていいほど、為替相場を動かす指標です。

雇用統計が発表される第一金曜日に、スタジオジブリのアニメ作品が放送されると、翌日の為替相場や株式相場に影響がでるというので、2013年にマスコミを賑わしました。

たとえば、次のように取り上げられています。

電子版のウォール・ストリート・ジャーナルは、2013年8月2日10時32分に、『日本の株・外為投資家が身構える「ジブリの呪い」』と題して、「【東京】スタジオ・ジブリという名を耳にすれば、大抵の日本人は「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」といったヒット作を次々に生み出してきたアニメ制作会社を思い浮かべるだろう。

だが、株式と為替のトレーダーはそれとは別に陰鬱(いんうつ)なイメージも連想するはずだ」と前置きして、その理由を述べています。

また、2013年9月10日に配信された東洋経済オンラインは『「ジブリの呪い」炸裂でも、底固い米ドル ディーラー歴20年の達人が読む為替』と題して、国際金融コンサルタントで元為替ディーラーの田代岳氏のコメントを次のように紹介しています。

「先週、6日金曜の夜は、またもや「ジブリの呪い」が炸裂してしまった。

『ジブリの呪い』というのは、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)でも報道されたが、金曜ロードショーでジブリ作品のアニメが放映されるときは、株式や為替市場が荒れるという「都市伝説」だ。

この日はたまたま米雇用統計の発表と重なるために、変動が起こるのだろうが、WSJが報道したことで、ジブリ作品と市場の動きが注目されたが、もちろんこれは話のネタ以上の意味はない」

さすがに元為替ディーラーは否定的です。

さらに報道はまだまだ続きます。

2013年9月5日10:時54分に配信されたMSN産経ニュースでは、『市場が恐れる「ジブリの法則」 テレビ放映で為替や株式市場が大荒れに』と題して、次のような報道をしています。

「日本アニメ界の巨匠、宮崎駿監督(72)の電撃引退が、投資家たちを動揺させている。重要な経済指標である米国の雇用統計が発表される毎月第1金曜日に、宮崎監督率いるスタジオジブリの作品が日本テレビ系列の『金曜ロードShow!』で放映されると、為替や株式市場が大荒れになるという「ジブリの法則」が原因だ(SANKEI EXPRESS)。

(略)『ジブリの法則通りなら、円高ドル安になる。市場の大半は円安ドル高を予想して動いている。統計発表前に逆張りで円を買っておけば、大もうけできるんだけど…』。

ある外資系金融機関の為替ディーラーは、けっこう真面目に悩んでいる。

法則が、単なる“都市伝説”と一蹴できないほどの的中率を誇るためだ」

そして、2016年8月5日に、日本経済新聞の電子版が本格的に「ジブリの呪い」を取り上げました。

これにはFXトレーダー以外に、多くの購読者も驚いたに違いありません。

一流と目される経済紙がFXのアノマリーとして知られる「ジブリの呪い」を正面から取り上げたからです。

同日20時25分に配信された電子版は、『米雇用統計に3年ぶり「ジブリの法則」 実は少ない円高』と題して、次のように記事では述べています。

「日本時間今夜に7月の米雇用統計の発表を控えた様子見姿勢の強さが静けさの背景だが、市場の一部で波乱に身構える参加者がいる。5日はほぼ3年ぶりに米雇用統計の発表とある作品の放送が重なったためだ。

『ジブリの法則』。

スタジオジブリのアニメーション映画が金曜日に放送されると円高になりやすい、という経験則(アノマリー)だ。

(略)2000年以降にジブリのアニメ作品の放送と米雇用統計の発表が重なった翌営業日の円相場の動向を調べると、5日分を除く22回中13回が円高と、ほぼ五分五分だった。

ただ、リーマン・ショック後の12回では8割超の10回で円高方向に振れた。

1円を超える円高も4回あった。

(略)米雇用統計とジブリ作品の放送が重なった13年9月6日以降の金曜日のジブリ作品放送翌営業日の円相場は、17回中12回と7割が円安になっていた。

13年夏に米有力経済紙が大きく報じたことで外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家の間で話題をさらった「ジブリの法則」だが、最近はアノマリーが通じなくなっていた。

足元でもジブリの法則を取り沙汰する市場関係者は見られない。

(略)週明けの市場でアノマリーは過去のものとなるか、再び市場の話題をさらうか」

最近は、金曜ロードショーでスタジオジブリの作品が放送される機会があまりないので、「ジブリの呪い」のアノマリーは、雇用統計の相場に影響を与えることは少なくなってきました。

しかし、統計から言うと、かなりの確率で円高相場を演じてきたことは否定できません。

かといって、それほど深刻に気にするのもどうかと思います。

頭の片隅にでも入れておけばいいのではないでしょうか。

マスコミを騒がせた「ジブリの呪い」を長々と説明してきましたが、米雇用統計が絡んでいましたので、無視するわけにはいきませんでした。

以上のように、アノマリー通りに相場が動くこともあるのは事実のようですが、それだけを信じてトレードをしてしまうと痛い目にあいそうです。

ですから、「ああ、こういうアノマリーもあるんだな、注意しておこう」程度の認識でいいのではないでしょうか。

では、FX業界にはほかにどんなアノマリーがあるのでしょうか。

ちょっと好奇心も手伝って、のぞいてみたくなってきました。

年間(月ごと)のアノマリー

皆さんは初めて耳にするかもしれませんが、年間、つまり、月ごとのアノマリーが存在しているのです。

誰が言い出したかははっきりしませんが、先人の知恵や体験から生まれたものであることは、間違いのないところです。

1月のアノマリー(該当せず)

1月は、ただ単に12月から月が変わるだけなのに、なぜだか新鮮な気分にさせてくれる月です。

昨年までのできごとは一新して、新しい気持ちで新年を迎え、今年1年の無病息災、商売繁盛、学業成就など、いろいろなお願いごとをする月でもあります。

相場とて例外ではありません。1年の計は元旦にありといいますが、1月のアノマリーで言われているのは、1月に出現したトレンドがこの先1年間のトレンドになる、というものです。

つまり、「米ドル/円」でいえば、1月がドル高円安で終わると,その年の相場はドル高円安傾向になるということです。

もしそれが本当なら、常に買いポジションでトレードをすれば、かなりの利益を得るかもしれません。

では、2019年の相場で「米ドル/円」がどうなったのか、日足で検証してみましょう。

2019年は1月2日から相場が開きました。

始値が109.424円、終値が108.870円と陰線のスタートです。

1月31日の終値は108.853円です。1月2日の終値と比べると0.017円の下げ相場です。

ということは、2019年は下げ相場が多くなるということになります。

では実際の2019年の相場はどう推移したのでしょうか。

2月1日の終値107.483円から3月5日の終値111.872円まで上昇トレンド(29日間)を形成します。

その後、3月22日までは下落トレンド(17日間)で、終値109.928円をつけます。

それから4月22日まで上昇し(31日間)、終値112.177をつけます。

その後、6月25日に終値107.177円をつけるまで下落トレンドです(64日間)。

それからレンジ相場が続いて9月3日に105.928円をつけたあと上昇トレンドに転換し、そのトレンドが11月27日(終値109.538円)まで続きます(85日間)。

その後、2日~3日の上昇と下降を繰り返し、12月31日は終値108.658円をつけて、2019年の商いを終了しました。

1月2日の始値109.424円よりも0.766円下落したわけですから、この結果だけをみれば、1月のアノマリーはあたっていることになります。

しかし、相場の値動きの中身となると、上昇トレンドが148日間、下落トレンドが115日間となっています。

もちろん、上昇トレンドとして計算している値動きのなかには、途中で下落する日々もありますが、安値を切り上げて推移しているので上昇トレンドとして日数に入れています。

下降トレンドも同様です。

値動きの中身からいうと、1月のアノマリーはあたっていないということになります。

とまあ、どちらとも判断できるアノマリーということで理解をしてもらえるといいかもしれません。

さくら
さくら

つまり、アノマリーだけを信じてトレードはするな、ということです。

2月のアノマリー(該当する)

2月のアノマリーは、「米ドル/円」は下落する可能性が高いというものです。

というのは、ヘッジファンドの45日前ルールというのがありまして、ヘッジファンドの出資者は、投資しているお金の解約や一部換金をする場合、決算日の45日前までにファンドに通知しなければならないということが取り決められているからです。

もし、投資家が解約を申し込んできたら、ヘッジファンドは解約に応じて、投資してもらったお金を返却しなければなりません。

そこで、ヘッジファンドがもっているポジションを決済して現金化を図るわけですから、自ずと相場は下落傾向に転じます。

とくに、株式相場ではそのことが顕著に現れます。

それから、外国債の満期償還日も外国債券の種類いよってですが、けっこう2月が多いようです。

米ドルで償還されたものを日本円に変換することが増えるので、「米ドル/円」は円高になりやすいです。

さくら
さくら

つまり、「米ドル/円」が下落傾向にあるというわけです。

3月のアノマリー(該当する)

「米ドル/円」は下落します。

2019年3月の「米ドル/円」相場を日足でみてみると、3月1日は111.922円の始値でスタートし、3月5日に最高値の112.132円をつけたあと下落トレンドに入り(18日間)、3月23日に最安値109.704をつけてからは上昇トレンドに転換しました。

4月のアノマリー(該当する)

「米ドル/円」は上昇します。 2019年4月の「米ドル/円」相場を日足でみると、4月1日は始値110.994円、高値111.440円、安値110.804円、終値111.336円でした。陽線のスタートです。

4月10日に安値110.839をつけますが、1日の安値を若干ですが、切り上げていますので上昇トレンドのなかの押し目買いのチャンスと考えて、4月17日の高値112.161円までを上昇トレンドととらえます(上昇トレンド17日間)。

その後、4月24日に最高値112.396円をつけると翌日に大陰線が出現して相場は下落し、4月30日の終値は111.419円でした(下落4日間)。

5月のアノマリー(該当する)

5月のアノマリーは相場の世界では常套句になっています。

「SELL IN MAY」(Sell in May and go away; don’t come back until St Leger day)。

5月にポジションを手仕舞って、Leger dayまで相場に戻ってくるな、という意味です。

Leger dayというのは9月の第2土曜日のことです。

売りですから、「米ドル/円」は米ドル安円高の展開となりやすいです。

2019年5月の相場はどうだったでしょうか。

「米ドル/円」の日足で確認してみましょう。

5月1日の始値は111.371円ですが、5月31日の終値は108.276円です。

一ヶ月で3.095円の下落です。

10万通貨の売りポジションを持っていて5月31日に決済をすると、30万円以上の利益になる計算です。

アノマリー通りです。

6月のアノマリー(該当せず)

相場の転換点となりやすい。

しかし、2019年の6月の値動きは、相場の転換どころか、上昇トレンドも下降トレンドも発生せず、どちらかというとレンジ相場に終始していました。

7月のアノマリー(該当せず)

「米ドル/円」相場は、7月は米ドル高円安、8月はその逆で米ドル安円高になるというのが、7月と8月のアノマリーです。

2019年7月の「米ドル/円」相場は、108.990円と107.700円の間でレンジ相場の展開でした。

8月のアノマリー(半分該当する)

8月にはいると1日にいきなり大陰線が出現し、高値109.317円をつけたあと終値107.335円まで下落しました。

1日で1.982円の下落です。

その後、8月12日に105.049円をつけるまで下落し、13日には高値106.975円、翌14日には安値105.649円をつけるなど、相場は乱高下。

8月30日終値106.253円をつけて8月の取引を終了しました。

8月のアノマリーは、盆前まではあたっていました。

9月のアノマリー(該当せず)

9月に発生したトレンドは、11月まで継続します。

「米ドル/円」は米ドル安円高傾向になります。

2019年9月の「米ドル/円」相場は、2日から上昇トレンドが発生し、9月18日まで続きました(17日感、終値108.442円)。

その後いったん値動きは9月24日まで下落し(終値107.062円)、9月25日から再び上昇に転じ(7日間)、9月30日終値108.070円で9月の取引を終えました。

月のうち25日間は上昇トレンドを形成しました。

10月のアノマリー(該当せず)

9月のトレンドの勢いが継続します。

10月の「米ドル/円」相場は、始値108.070円から陰線で始まり、10月3日に安値106.480円をつけました。3日間連続の下落で、下落幅は1.59円です。

10月4日のローソク足は十字線。

10月7日の始値106.670円からは上昇トレンドに転じ、10月30日には高値109.285円(終値108.853円)をつけて10月の取引を終えました。

24日間連続の上昇トレンドを維持し、2.615円の値上げ幅となりました。

米国の10月のアノマリーには、「10月効果」というのがあるそうです。

何でも株価が暴落する可能性があったり、「米ドル/円」がふだんでは考えられないほどの米ドル安になるという言い伝えです。

しかし、2019年の「米ドル/円」相場にはアメリカのアノマリーは通用しませんでした。

11月のアノマリー(該当する)

「米ドル/円」は月末にかけてトレンドが反転する可能性が高いです。

11月1日の「米ドル/円」は、始値108.019円からスタートし、上昇を続けて11月8日に高値109.474円をつけました(上昇8日間)。

その後、値動きは下落に転じ、11月14日には安値108.232円をつけて下げ止まりました(下落5日間)。

11月15日から土日をはさんで18日、19日は上げ下げを繰り返し、11月20日から再び上昇に転じ、11月29日には終値109,487円をつけて、11月の取引を終了しました。

12月のアノマリー(やや該当する)

相場が大荒れになる可能性が高いです。

12月のイベントといえばクリスマスです。

とくに、欧米諸国は新年よりもクリスマスを重要視します。

したがって、大手金融機関の為替ディーラーもヘッジファンドも長期のクリスマス休暇を楽しく過ごすために、保有しているポジションを手仕舞う傾向にあります。

それは、毎年繰り返される恒例行事で、相場もそれに慣れっこになっているはずなのですが、12月はいつも相場が荒れやすくなるといわれています。

市場参加者が極端に減るのも、12月の特徴です。

従って、大口の投資家が参入してくると相場が大きく動きやすくなります。

とくに、ふだんから市場参加者が少ないマイナー通貨であるトルコリラや南ア・ランド、メキシコペソ、ブラジルレアルなどの新興国通貨は、相場が荒れやすくなります。

12月は目先を変えて、「ユーロ/米ドル」の値動きがアノマリー通りなのかをみてみましょう。

12月は2日からのスタートになります。

「ユーロ/米ドル」は始値1.10241米ドルの陽線から始まりました。

12月17日まで間に3日ほど陰線が出現しましたが、上昇トレンドは変わらず、12日には高値1.11745米ドル(終値1.11487米ドル)をつけて、いったん上昇トレンドは止まります。

その後、18日、19日、20日と相場は下落しますが、23日から31日までは上昇相場を形成して、12月の取引を終えました(終値1.12171米ドル)。

もし、10万通貨の取引をしていたら、円換算すると21万円強の利益を得た計算になります。

いかがでしたか。それぞれの月のアノマリーでしたが、該当するケースもあればそうでないケースもあります。

逆にいえば、だから相場は面白いともいえます。

月ごとのアノマリーをみて検証していくだけでも、FXあるいは為替って面白いと思いませんか?

さくら
さくら

では次に、月ごとのアノマリーのほかにも、FX業界をとりまくアノマリーはたくさんありますので、ほんの少しばかり、紹介してみます。

五十日

月ごとのアノマリー以外でもっとも有名なアノマリーは「五十日(ごとうび)」です。

「五十日」については以前も触れたことがありますので、詳述は避けますが。

月のうち、5で割り切れる数字、5日、10日、15日、20日、25日、30日のことを指します。もし、五十日が日曜日にあたっていたら、13日の金曜日が五十日となります。

なぜ五十日に注目するかといえば、実需の為替両替が発生し、それが為替相場に影響を及ぼす傾向が強いからです。

その特徴をつかんで、五十日だけFX取引をするトレーダーもいます。

輸出企業は製品の代金として受け取った米ドルを日本円に両替したり、輸入企業は輸入製品の支払いのために、日本円を米ドルに両替して輸入代金の支払いにあてるわけです。

そうすると、米ドルを売って円を買うということになると、「米ドル/円」は円高になり、一方、日本円を売って米ドルを買うと「米ドル/円」は円安になります。

どちらに傾くかは、輸出入企業の業績にも左右されます。

さくら
さくら

ただ、五十日はそういう傾向になるということだけを知っておけばいいでしょう。

仲値

五十日の次に知られているのは、仲値です。

仲値とは、一言でいってしまえば、金融機関が外国為替取引をするときに基準とするレートのことです。

海外旅行へ行くときに、銀行で両替をするときにも、仲値が基準になりますし、輸出入企業が外貨を両替するときにもこの仲値が基準になっています。

毎営業日の朝、午前9時55分に各金融機関が、自分の銀行の仲値を発表します。

仲値は各金融機関によってレートはまちまちです。

仲値が決定する午前9時55分前後は、相場が大きく動きやすいことは事実です。

そこで、仲値について言われているアノマリーは、仲値の時間帯は「米ドル/円」は円安傾向が強くなる、というものです。

しかし、これは本当でしょうか。

企業は午前9時55分前に、金融機関に「米ドル/円」の売買注文を出します。

そして、ディーラーは企業から受け付けた注文の正味――米ドル買い円売り注文と米ドル売り円買い注文を相殺した結果――を市場でカバー取引をします。

このとき、米ドル売り円買い注文が1億ドル多かったら、市場で米ドルを売って円を購入しますので、「米ドル/円」は米ドル安円高になります。

もし、米ドル買いが1億ドル多かったら、市場で1億ドルを購入しなければなりませんから、「米ドル/円」は米ドル高円安になります。

このように、仲値前後の為替相場の動向は、企業からの為替の注文がいくらあるかどうかで決まってくるのです。

ですから、一概に米ドル高円安になるとは限りません。

外為ディーラーが口にするのは、仲値の時間帯はエントリーを控えたほうがいいということです。

たとえば、円安だと想定してロングでエントリーしたものの、9時55分になってみたら、一挙に円高に触れることがあるからです。

ということで、仲値に関するアノマリーはあまり信用できない、というのが結論です。

ほかには、「窓埋め」や「水星逆行」「新月・満月」「レパトリエーション(repatriation)」などに関してのアノマリーがあります。

もし興味がある人は調べてみると面白いかもしれません。

辻秀雄氏のプロフィール

秀雄氏
ジャーナリスト。リーマンショックに世界が揺れた2008年に、日本で初めて誕生したFX(外国為替証拠金取引)の専門誌、月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。出版社社員からフリーになり、総合雑誌「月刊宝石」や「ダカーポ」「月刊太陽」「とらばーゆ」などで取材・執筆活動を行う。また、『ビジネスマン戦略戦術講座(全20巻)』などビジネス書の編集にも携わる。著書に『インターネット・スキル』『危ない金融機関の見分け方』『半世紀を経てなお息吹くヤマギシの村』など。共著に『我らチェルノブイリの虜囚』『ドルよ驕るなかれ』『横浜を拓いた男たち』など。
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