【トレーダー紹介】松村守幸さん
松村守幸さんは、FXのプロトレーダーとして名が知られています。
FX歴は13年、株式投資は6年、投資信託は15年、商品先物11年ですが、バイナリーオプションと外国債券投資は未経験ということです。
好きな通貨ペアは「ポンド/米ドル」「ポンド/円」「ユーロ/円」。
好きなテクニカル指標は、J.W.ワイルダー氏が考案したテクニカル指標全般だそうです。
FXの世界に入ったのは2006年
――まず、松村守幸さんの簡単なプロフィールからご紹介ください。
今でこそFXの個人投資家であり、セミナー講師のお仕事もやらさせていただいていますが、元々は株式から投資の世界に入りました。
ITバブルがはじけたあとの2006年頃です。その時は、株式投資について何も知識がないまま参入したのですが、相場がよかったのか、思いのほかトレードが上手くいきました。
それから日経225先物に取引を変えて取引をしていたのですが、2008年のリーマンショックの時に大きな損失を被りました。
金額で言うと、半年間で約800万円ぐらいの損失を出しました。
これはいかんと思ったのと、リーマンショックのせいでマーケットのボラティリティが低下し、マーケットが萎縮してしまったんですね。
――そうですね。
それ以前は、1日100円から200円動いていたマーケットが、100円も動かないような相場が毎日続いてしまいまして、これだと変動が乏しいので利益がなかなかあがりません。
そこで他のマーケットを探していたら、FXに突き当たったわけです。
FXは、日経225のように銘柄がひとつではなく、通貨ペア数が多いので一気に魅了されて、なおかつ、元々テクニカル分析でトレードするトレーダーだったので、実際にテクニカル分析を相場に当てはめてみるとワークするということで、現在、FXのトレードをやっています。
取引スタイルはデイトレが基本
――現在はFX一本ですか?
今は、10種類ぐらいの通貨ペアを見ています。
メジャー通貨5つとマイナー通貨を5つぐらい見ています。取引手法も、基本はデイトレードに特化していまして、スキャルピングやスイングトレードなどいろいろな手法がありますが、唯一やらないのがスイングトレードです。
ポジションを長く持っていれば利益が上がるのはわかっているのですが、過去に大きな損失を被った苦い経験があるので、リスクのもっとも少ない手法を取ろうということで、デイトレとスキャルピングをメインにした取引を行っています。
――基本的にデイトレということなので、ポジションはその日に手仕舞うわけですね。
そうです。
――過去の苦い経験からできるだけリスクは取らない手法に変わっていったわけですね?
そうですね。
寝るときには必ずポジションを持たないようにしています。
――ぐっすり眠れるように……。いろいろな方がおられますが、勝ち続けている方というのは、リスクの取り方が一般のトレーダーとは違うと感じますよね。
余剰金レバレッジは10倍を超えない
――ところで、レバレッジですが、どのぐらいでと決めておられますか?
証拠金レバレッジと余剰金レバレッジがありますが、証拠金レバレッジは日本のFX会社を使うと最大25倍までしか利用できませんが、唯一管理できるのが余剰金レバレッジだと思うんですね。
口座に入っている証拠金に対してどのくらいのポジションを持つかということなんですが、私自身は余剰金レバレッジで2.5倍から5倍ですね。
一番大きくても10倍は超えないようにしています。
――それはある程度の変動を許容するためですか?
そうですね。
1日1000pips動いて損失を被ることがなければ、基本的に資金ショートすることはないという資金管理の方法となります。
トレードをしながら、ロジックをつくる
――なるほど。ところで、日経225からFXに取引を変えられて、すぐに毎月毎月利益が出るようになったのですか?
すぐには利益を上げることができませんでした。
FXに転身した当時は、明確なロジックを持っていなかったので、トレードをしながらロジックをつくっていったような感じですね。
――どのぐらいの期間経ってから、「これはいけるな」と思われましたか?
3年ぐらいはかかっています。
――3年ぐらい?けっこうかかるんですね。
月間でプラスになったり、マイナスなったり……。
大負けすることはなくなったのですが、これが本当に上手くいくのか、という確信を持つまでにはいかなくて、何かひとつ軸がなくてはいけないなと思い、少なくとも1年以上それを使い続けて、結果がでれば自信にもなりますし、それを続ける理由にもなります。
――そういった日々の研究は絶対必要なことですよね?
毎日午前中は、前日に取引をしてもしなくても、前日の相場を見直して、マーケットを知るためのいろいろな数値がありますが、その数値に変動があるかないかは常に確認しています。
取引のメインはロンドンタイム
――取引の時間帯はどのようになっていますか?
メインのマザータイムはロンドンタイムに置いています。
夕方の17時から、ニューヨークタイム直前の23時ですね。
ロンドン市場が動かなくて、ニューヨーク市場が動くこともあるので、そうした場合は、ニューヨークタイムも取引をします。
東京タイムの朝9時からというのはやることが少ないですね。
――それは前日の相場の分析にあてているんですか?
その時間帯は分析にあてているのもありますが、ロンドンタイムやニューヨークタイムに比べると、東京タイムはもっとも動位が少ない。
通貨ペアに関係なく、もっとも値動きが乏しいので、私の手法は、トレンド手法といって、方向性が出たらその方向についていくというスタイルなので、同じ買いシグナル、売りシグナルが確認されても、東京タイムだとあまり利益が上がらないという傾向があります。
自分の取引ルールは変えない
――そこらへんはある程度、決まっているルールになっているのですね?
そうですね。
ほとんどのそのルールは変えていません。
――皆さん、自分なりのルールを確立されていると思います。上級者だからといって勝てるわけではないし、長く取引をしているから勝てるというわけでもありません。そうすると皆さん、どうやったら勝てるだろうと知りたくて、コンテンツを読むと思います。そこでひとつ、ルールを定めるというのはキーワードになってくると思うんですが、ルールを決める手順はどう考えたらいいでしょうか?
個人投資家の皆さんは、性格も違うし、持っている資金量も違います。
そこで、どのぐらい利益を上げたいかという最低限の目標を決めていただくと、ようやくそこで選択肢が見えてくると思います。
取引手法にしても、順張り、逆張りとありますが、それぞれが性格に合う、合わないがありますので、どちらのスタイルが自分に向いているかを考えていただいて……。
私の場合、逆張りは私の性格に合いません。
自分を知ることから始めて、それが決まったら、ようやく時間軸の選択になってくるのかなと思います。
ポジションを長く持ちたいのか、持ちたくないのか、求める利益によっても、時間軸に触れる必要があると思います。
そのうえで、インディケータをどうするのかというテクニカルの部分に入ってくると思います。
多くの方は自分を知らずに、目的を持たずに、うる覚えでテクニカルをかじってトレードをしてしまうので……。
――そうなんですよね。自分の生活にあったトレード手法しかできないわけじゃないですか。自分が兼業トレーダーだったら、働いている時間はトレードはできません。今、インターネット上に情報はたくさんあるじゃないですか。そこで、皆さん、いろいろな情報に手を出すんですが、極められないと言いますか、逆に、情報の量が多すぎて、広く、浅くで終わってしまうパターンが散見されるんですね。
そうですね。
テクニカルは、方向性と継続性、タイミングを測るもの
――松村さんの場合は、テクニカルが得意ですよね。そこで、この3つのテクニカルだけは極めてください、というものは何でしょうか?
どういうことを教えてくれるインディケータかというと、ひとつは、方向性を教えてくれるインディケータを理解して使う必要があります。
あと、方向性はわかったとしても、次に大事なのは、いつ買えばいいのか、いつ売ればいいのかというタイミングだと思いますので、タイミングを教えてくれるインディケータとあわせて、複合的に見る必要があります。
もうひとつは、方向性も出て、タイミングもわかったとしたら、最後に必要な情報は、そのトレンドの継続性を教えてくれるインディケータですね。
方向性が上で、ここからさらにあがりそうだとわかって、ようやく買えるわけですが、次に必要なのが、入り口がわかったら出口戦略になってくるので、その出口をひとつではなくて、二つ三つ、パターンを教えてくれるインディケータですね。
――そこらへんはとりあえず押さえて……。
初心者の方は、方向性を教えてくれるインディケータを3つぐらい組み合わせているとか、トレンド系とオシレータ系を組み合わせて、よくわからなくなっているとか、けっこう曖昧に組み合わせているのが多いですね。
ただ、チャート上にたくさん表示していると、何となく安心してしまう傾向にありますね。
ですから、方向性とタイミングと、継続性の3つが最低限でも必要で、それがあればトレードが十分できると思います。
基本的には自分の手法を教える
――今、松村さんは生徒さんに教えてもいらっしゃいますが、生徒さんは初級者から上級者まで満遍なくおられますか?
初心者の方は多いです。
FX経験1年未満とか、アベノミクスで、「米ドル/円」が右肩上がりなのを見て始めた方とか、長い方だと10年ぐらいやっているトレーダーさんもいます。
でも、10年ぐらいやっている方はまれで、10年までいかないうちに資金を溶かしていく方が大半なので、1年から5年のFX経験のある生徒さんが多いですね。
――生徒さんは、勝ち続けるためにはどうしたらいいのかを学びにきている方が多いのでしょうか、それとも先生の手法を盗んで、松村さんのようになるのだ、という方が多いのですかね?
私の手法を知りたいという方が大半ですね。
基本的に、生徒さんには私が使っているものと同じものを伝えて、同じインディケータを見て、同じタイミングでエントリーをしましょうというかたちになるので、教えやすいですし、何が悪かったかというのも、私自身が気づきやすいですね。
――生徒さんも同じようにやるので、松村さんと同じように勝ったり、負けたりするんですか?
そうですね。
ただ、私と同じ時間帯に相場を見られない方もけっこうおられます。
ニューヨークタイムしかトレードできないという方も多いです。
ただ、同じタイミングで見ていたら、エントリーも決済も同じタイミングになることが多いですね。
――それはパッケージ化しているのですか?
そうですね。
ゼロから学べるようにしています。
テクニカルの入り口から伝えていくような感じですね。
オンラインで取引を教える
――生徒さんに教えているのは、対面ですか、オンラインですか?
オンラインです。
昔は、リアルセミナーをやっていたのですが、どうしても、地方の方だと受講できなかったり、費用もかかるので、現在はオンラインのみでやっています。
――入会する期間は決まっているのですか?
表に出しているものでは、今、商材がありまして、FXの初歩的なところから、私のロジックで、私がトレードした動画を送っているのですが、それを見てまずやってくださいねと。
それで、定期的にオンラインセミナーで「その後どうですか」「わからないところはないですか」を繰り返し行っています。
――生徒さんへの対応はひとりでやっておられるのですか?
私と、取引先の方の力を借りてやっています。
あるカテゴリーに質問が集中する時があるのですが、そういった時に、質問回答動画を1本つくって、送っています。
――アフターフォローを含めて、対応が丁寧ですよね。
私もこれがいいロジックだと思って表には出すのですが、相場は日々変化をするので、変化に対応するスキルを同時に身につけないと勝てないと思うんですね。
それはオンラインでひとつのコンテンツを紹介するだけでは絶対に身につかないので、繰り返し学習する必要があって、そこについてきてくれる人であれば、利益を生み出せる、勝てている方が本当に多いです。
トレードをしているからアドバイスもできる
――相場は日々変わっていきますから、1年使えたものが、5年、10年使えるかといったら、なかなか難しい。その場合、ある程度の微調整はやられるのですか?
そのへんは、普遍的なロジックにしようというのが私のなかにあって、私自身がトレードする時のロジックとしては、色褪せないロジックがいいと思っているので、パラメータに起用されるような、今年は儲かったけど、来年はまったくダメだったというロジックでは使い続けることはできないので、その点はものすごく検証を重ねて、ロジックを出しました。
トレンドフォローのロジックになっていますので、たとえば、1年間、まったく方向性が出なかったとすれば、儲からなくなるんですけど、過去10年間さかのぼって、1年間変動がなかった相場というのは、為替においてはないんですよね。
方向性さえ出れば、利益が上がるようなロジックになっていますので、その点は大丈夫ですね。
私の教材は、2014年の春から出させていただいているのですが、パラメータもいっさい変更していませんし、お客さまからのクレームもありません。
――ご自身もふつうにトレードをされているんですよね?
そうです。
実際に、そのロジックをずっと使い続けているので、一回も勝てないという人がいても、私のなかでは、いや、勝てないはずはないという確信があるので、じゃあ、その差はなんだろうと、フォローはわりとしやすいですね。
これが、商材だけ出して、あとは自分ではトレードしませんとなると、勝てないと言われても、対処のしようがありません。
新しい試みとして商材を始める
――FXの商材を探すと、ごまんと出てきます。みんなちゃんとつくっているのかも知れませんが、だからといって勝てるわけではありません。値段もまちまちです。どうして商材をつくろうと思われたのですか?
正直に言いますと、商材をつくる気はまったくありませんでした。
そんなに人に教えてもな、と思ったし、人にそれを売って儲けていると思われるのも嫌だったんですよね。
――なかには自分でトレードをしないで、商材を売るのが目的の人もいますからね。
そう思われるのがいやだったんですね。
ただ、知り合いから商材の話をいただいて、紹介されたところが、投資家さんを支えるサポート体制が非常に整っていて、スタッフの人数も多くて、それなら面白いかなと、ひとつの新しい試みとしてやってみることにしました。
――今のところは問題なく、いっているということですね?
はい、そうです。
――素晴らしいですね。
自動売買は「?」
――ところで、自動売買はやられないですか?
昔はやっていました。
現在は、知り合いから「こんなのつくったよ、ためしてみて」と依頼がくるので、テストで走らせてはいるのですが、ちょっと「?」という感じですね。
――松村さんのロジックを自動売買に落とし込めたりはしないんですか?
FXは、たとえば、通貨の強弱は日々変わります。
金融緩和の2013年、2014年は1年を通じて、数ある通貨のなかで、もっとも円が弱かった年なんですね。
それが2016年はどうだったかといえば、年初から年央にかけては、逆に円が一番強かったんですね。
このように、通貨ペアの強弱が変わるなかで、ひとつのロジックをつくって、「米ドル/円」で走らせたとしても、機能する年と、機能しない年がどうしても出てきます。
その点は、裁量を加えて通貨ペアの選択を判断しないと難しいのかな、と思います。
ただ、通貨ペアを選択するパラメータであったり、何かが備わっているようなEAであれば、ワークするのかなと思います。
そこまで考えないと、たぶん難しいのかなと思います。
通貨ペアの強弱判断は日足で
――先ほど、10通貨ペアの話が出ましたが、10通貨ペアを見ているのですか、それとも10通貨ペアを取り引きされているのですか?
10通貨ペアを見ていて、一番トレンドが出やすいものを2~3通貨ペア選択して、そのなかの1通貨ペアだけ、買いシグナル、売りシグナルを、ある一定の時間だけのものを抽出して見るようにしています。
――そこらへんは、経験値的なものもあるんですか?
そうですね。
通貨ペアの強弱の判断は、日足をベースに行っていますので、昨日の日足の終値が決定した段階で、今日の通貨ペアの強弱が予めわかるので、そこまでは難しくありません。
ここはある程度体系化しています。
投資家教育に注力を
――現在、使っておられるFX業者は国内の業者ですか?
いえ、海外です。
――今まで使われたFX業者について何か意見はありますか?
使って不満だったことは、これまでありません。
2011年~2012年にかけて未曾有の円高局面がありました。
そこでブローカーを国内業者から海外業者に移しました。
それ以降は国内の業者は使っていないですが、生徒さんから聞く話ですと、出金できないという話は当然ないのですが、売りたい時に売りたい水準で売ることができなかったとか、約定しないこともやはりあるようです。
多くの会社がノンディーリングではなくて、ディーリングというスタイルを採用しています。
お客さんが負けると儲かるというところが多いので、個人投資家が損をして、FX業者が儲けるというのは私の意志に反しているので、そういう業者は使っていません。
あと、多くの会社が、「米ドル/円」の取引を推奨してきます。
実際に、取引量を見ると、8割ぐらいが「米ドル/円」の取引をしているところが多くて、なぜ、「米ドル/円」ばかりを推奨するのか、もっと他の通貨ペアを推奨してくれると利益が上がるのにと思います。
ただ、FX業者としては、「米ドル/円」に集中させたほうがマリーもできるから、いいんでしょうね。
もっと投資家教育とか、お客さまが利益を上げるにはどうしたらいいのかに、注力していただきたいと思います。
――それはたぶん、おっしゃるとおりだと思います。彼らは、彼らでビジネスから一概には否定できませんが、ただ、投資家を育てるとか、お互いの長期的な利益をもっと考えたら、それは違うんじゃないかと思います。
そうですね。
最近はあまり見かけませんが、一時期、雇用統計ナイトとかやったじゃないですか。
絶対に勝てない時にイベントをやって、みんなその日に「米ドル/円」を取引して……。
あれはちょっと違和感がありましたね。
――雇用統計の日は取引をやらないほうがいいと思っているので、私もそれは不思議なんですね。今日は凄い日だから、取引をしないとダメだというような印象を与えているじゃないですか。
それもノンディーリングだからできることだとは思います。
――盛り上がって、どんどん取引をしてしまうと、負けますからね。
そうですね。FX業者としては、その一日でけっこう儲かるんでしょうが……。
――FX業者のためのイベントですね。
アフィリエーターが紹介していないFX業者
――ところで、海外のFX業者といっても、たくさんあります。選定のコツはありまか? よく聞くトラブルは、出金トラブルです。そういうのを聞くと、皆さんどこを選んだらいいか、迷ってしまうと思うのですが。
今ですと、日本のアフィリエーターが比較している海外のFX業者は、そんなにいいのがありません。
レバレッジ888倍とか、1000倍とかいってますが。
ノンディーリングをやっているFX業者に口座を開設すれば、透明性の高い取引ができますが、そうでないところ少なくなくて、アフィリエーターが宣伝していないFX業者のほうが、むしろちゃんとやっているところが多いですね。
国で言うと、イギリスはロンドンに拠点があるFX業者とか、オーストラリアですね。
それぞれ資格を持っているところがよくて、ただ、それも今、あまり推奨できなくなっています。
その理由としては、金融庁から海外のFX業者に、日本のお客さんをあまり取るなという通達が言っているからです。
私はまだ海外のFX業者に口座を持っていますが、私の友人が海外のFX業者に口座を開こうと申請したら断られたと言います。
――オーストラリアですか?
イギリスですね。
――へえ、イギリスのFX業者にそう言われたのですか?
はい、そうですね。
スイスでも断られていますね。
――取引をされている口座を止めるという話は出ていないですか?
はい、大丈夫です。
――金融庁が海外の無登録業者を問題にするのはわからないわけではありませんが、なぜ、投資家が国内の業者ではなく、海外のFX業者に向かうことを気にしていないというか……。国内のFX者にはないメリットがあるから、海外のFX業者に目がいく訳じゃないですか。そのあたりについては、金融庁はあまり目を向けないので……。
そうですね。
――海外のFX業者の大きなメリットは何ですか?
レバレッジが高いことと、円だけで運用していないので、分散投資ができることですかね。
あとは、節税ですね。
――取引されているのは1社ですか?
4社ですね。
ロジックごとに口座をわけています。
――ちなみに、どちらのFX業者ですか?
オーストラリアとイギリス、デンマークのFX業者ですね。
MT4で、日足5本
――使うプラットフォームについてですが、何かこだわりはありますか?
MT4で、日足が5本であれば問題はないですね。
日足が6本だと、分析がしづらくなってしまいます。
――日足5本がいいんですね?
日足5本のほうがいいですね。
――海外のFX業者だと6本になってしまうんじゃないですか?
分析用に、日足5本もダウンロードしています。
――MT4ですが、使いやすいという人と、使いづらいと言う人がいますが、MT4のいいところというのは何ですか?
インディケータがカスタマイズできるところです。
見た目はあっさりとしているので、決しておしゃれとは言い難いのですが、使うぶんには支障がありません。
――MT5はどうですか?
使っていません。
――お勧めのFXの書籍は何ですか?
『ゾーン―相場心理学入門』(マーク・ダグラス著、パンローリング)という本は面白かったですね。
メンタルについていろいろな視点から書いてあるので、もの凄く勉強になりました。
過ちを繰り返さないポイント
――負けた時と、勝った時で気分は変わりますか?
負けた時は、がらっとは変わりませんが、多少、気分は変わります。
嬉しくは当然ないのですが、トレードを止めようとか、むきになって次のトレードをしようという気持ちにはならないですね。
「ああ、ダメだったか」と10秒ぐらい、シュンとなりますかね。
――負けた時に、自分のルール以外のことをやることはありますか?
ありません。
ただ、負けた時は、それが正しい負け方だったのかどうかを見つめ直すようにはしています。
それをやらないと、負けを取り戻そうと別の通貨ペアで取引をされる方は多いですが……。
――正しい負けとは?
なぜその通貨ペアを選んで、なぜそこでエントリーしたのか、どこにストップを置いたのか等を客観的に見直すようにしています。
――取引をさかのぼって?
負けた瞬間に、すぐに見直します。
あまり時間が経ってしまうと、その時の自分の感情などを覚えてなかったりしますから。
正しい根拠が確認されていて、正しいところでエントリーして、ストップも問題ないところに置いた損失であれば、やったことは間違いなかったと思って、そこから取引をし直します。
ただ、エントリーポイントが早すぎたり、通貨ペアの選択を間違えていたことがわかったら、その日はトレードをやらないようにしています。
ミスを犯しているから、ここからもう一度、トレードをしても間違う可能性が高いと思ってしまいます。
――その日はもう取引を止めて、明日に?
寝て、起きて、気分を新たにして、トレードに臨みます。
――それは、ミスを繰り返して、損失を拡大させないための、ひとつのポイントかも知れませんね。わかりました、ありがとうございます。
辻秀雄氏プロフィール
ジャーナリスト。リーマンショックに世界が揺れた2008年に、日本で初めて誕生したFX(外国為替証拠金取引)の専門誌、月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。出版社社員からフリーになり、総合雑誌「月刊宝石」や「ダカーポ」「月刊太陽」「とらばーゆ」などで取材・執筆活動を行う。また、『ビジネスマン戦略戦術講座(全20巻)』などビジネス書の編集にも携わる。著書に『インターネット・スキル』『危ない金融機関の見分け方』『半世紀を経てなお息吹くヤマギシの村』など。共著に『我らチェルノブイリの虜囚』『ドルよ驕るなかれ』『横浜を拓いた男たち』など。辻秀雄氏の詳しいプロフィールは、こちらから