令和2年の税制改正で専業主婦のFXの税金はどう変わるのだろう?
夫の扶養から外れてしまった場合どうなるの?
こんなお悩みをお持ちではありませんか。
結論からお答えすると、令和元年12月20日に行われた「令和2年税制改正の大網」の閣議決定では、専業主婦の所得の基礎控除は、48万円まで引き上げられました。
つまり、以前の38万円と比べると、+10万円分の所得まで余裕が出たといえます。
ただし、専業主婦の方がFXで利益をだすと、扶養から外れてしまうという問題も起きてしまいます。
そこで本記事では、下記の流れで、令和2年以降の専業主婦の税金について詳しく紹介します。
- 令和2年以降の専業主婦の税金は?
- 「令和2年税制改正の大網」の閣議決定での変更点
- 専業主婦がFXで利益を得ていくうえで必ず覚えておきたいこと
- 専業主婦がFXで利益を得ながらも様々な控除を受ける際の注意点
本記事を参考にしていただければ、専業主婦の税金面のことはもちろん、扶養のことや基礎控除などについても詳しく知ることができます。
では早速、「令和2年以降の専業主婦の税金は?」から詳しく紹介します。
令和2年以降の専業主婦の税金は?
「令和2年税制改正の大綱」によって、令和2年以降の税金に関する制度の変更点は、以下の通りです。
- 税率は一律20.315%(税率は今までと変わらず)
- 確定申告は年間48万円以上の所得
それぞれ詳しく紹介します。
税率は一律20.315%
FXで出た利益に対する税率は、一律で20.315%です。
「居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、一定の先物取引の差金等決済をした場合には、その先物取引に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下、この合計額を「先物取引に係る雑所得等の金額」といいます。)については、他の所得と区分して、所得税15%(他に地方税5%)の税率による申告分離課税となります。 (注) 平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則として、その年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することになります。」
出典:国税庁
FXの税金は、「先物取引に係る雑所得」として、申告分離課税となります。
申告分離課税の税率は、一律20%(所得税15%・住民税5%)です。
ただし、平成25年から令和19年までの各年分の確定申告では、所得税と復興特別所得税(原則として、その年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付するこになります。
つまり、15%(所得税)+5%(住民税)+0.315%(復興特別所得税(15%×2.1%))となり、20.315%がFXの税率となるのです。
令和2年以降のFXの税金は、今までと同じになります。
確定申告は年間48万円以上の所得
令和2年以降の税金は、FXでの所得が年間48万円を超えると、確定申告が必要となります。
令和元年までは、専業主婦や無職の方のFXでの所得が年間38万円以上の場合に確定申告をする必要がありました。
しかし、「令和2年税制改正の大綱」によって、10万円も引き上げられました。
つまり、所得の幅も+10万円広がったため、より多くの所得を得られるようになったのです。
給与所得者の場合は年間20万円以上の所得
給与所得者の場合は、FXでの所得が年間20万円以上になると確定申告が必要になります。
こちらは、令和元年以降と全く変わりはありません。
「令和2年税制改正の大網」の閣議決定での変更点
「令和2年税制改正の大綱」の閣議決定での変更点は、仮想通貨投資との損益通算ができなくなったということです。
以下で、詳しく紹介します。
仮想通貨投資との損益通算が出来なくなった
「令和2年税制改正の大綱」では、仮想通貨投資とFXの損益通算が出来なくなることが規定されました。
国税庁のホームページには、「仮想通貨取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得に区分されます。」
そして「雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。」という記載があります。
これまで、FXなどの先物取引に係る雑所得内で損益通算をすることができた仮想通貨での損益ですが、「令和2年税制改正の大綱」で損益通算ができないということです。
仮想通貨での利益は総合課税で所得税のように5〜45%の7段階の累進課税が適用されます。
専業主婦がFXで利益を得ていくうえで必ず覚えておきたいこと3つ
専業主婦がFXで利益を得ていくうえで必ず覚えておきたいことは、次の通りです。
- FX所得が年間48万円以上の場合は夫の扶養から外れる
- FX所得が年間130万円以上の場合は社会保険料が発生する
- 夫の扶養から外れてしまうと配偶者控除を受けられないかもしれない
それぞれ詳しく紹介します。
FX所得が年間48万円以上の場合は夫の扶養から外れる
専業主婦の場合、FX所得が年間で48万円以上になると、夫の扶養から外れてしまいます。
扶養というのは、所得税や住民税、配偶者控除、配偶者特別控除に関するもののことで、この扶養控除を受けることによって夫の支払う税金が少なくなります。
つまり、専業主婦でもFX所得が年間48万円以上になると、扶養控除の対象から外れ、夫の納税負担が変わってきます。
また、夫の会社によって変わってきますが、扶養手当などが支給されなくなってしまう可能性があります。
扶養を外れることによって、逆に支払うお金が多くなってしまう場合があるため、注意が必要です。
パートをしている場合は年間103万円以上の所得で扶養から外れる
専業主婦ではなくパートなどをして給与を得ている場合は、所得が年間で103万円を超えると、配偶者の扶養から外れます。
FX所得が年間130万円以上の場合は社会保険料が発生する
FX所得が年間130万円以上の場合は、社会保険料が発生します。
年間の収入が130万円以下であれば、夫の社会保険上の扶養に入るので、専業主婦は自分で国民年金保険料と健康保険料を支払う必要はありません。
FX所得が年間130万円以上となり、夫の社会保険上の扶養から外れてしまうと、自分で国民年金保険料と健康保険料を支払わなければならなくなります。
夫の扶養から外れてしまうと配偶者控除を受けられないかもしれない
配偶者の扶養から外れてしまうと、配偶者控除を受けられなくなってしまう可能性があります。
配偶者控除とは、年収103万円以下の配偶者がいた場合、納税者の税負担が軽減される制度のことです。
納税者は最大38万円が所得控除され、その分の税負担が軽くなるのです。(納税者の年収が1,120万円を超えると控除額は段階的に減額されます。)
つまり、配偶者控除から外れてしまうと、夫の所得税が高くなってしまうということになります。
専業主婦がFXで利益を得ながらも様々な控除を受ける際の注意点2つ
専業主婦がFXで利益を得ながらも様々な控除を受ける際に、注意しておきたい点は2つあります。
- 必ず正しい所得で確定申告を行うこと
- 夫の会社の様々な手当の至急範囲を確認すること
それぞれ詳しく紹介します。
必ず正しい所得で確定申告を行うこと
必ず正しい所得で確定申告を行いましょう。
正しく行われなかった場合は、追徴課税が課せられます。
例えば、期限内に確定申告をしていたものの、申告額が本来支払わなければならない税より少なかったという場合には、過少申告加算税が課せられます。
こうしたペナルティを避けるためにも、確定申告は必ず正しい所得で行わなければなりません。
夫の会社の様々な手当の至急範囲を確認すること
夫の会社の様々な手当の支給範囲を、事前に確認しておきましょう。
せっかく制度があったとしても知らずに申請を怠っていると、もらえるはずのお金がもらえなくなってしまうということもあります。
特に確認しておきたいのは、「扶養手当」です。
扶養手当というのは家族手当などとも呼ばれ、家族や子供がいる社員に対して支払われる手当です。
会社が就業規則に定めて支給するものなので、金額や内容は会社によって違いますし、会社によってはこの手当自体がないこともあります。
この扶養手当を受けるための条件として多いのが、「給与収入が103万円以下の家族」とするものです。
扶養手当が支払われた後に扶養家族の所得が103万円を超えていたことがわかった場合は返金を求められますので、あらかじめきちんと確認しておくことが必要とされます。
まとめ:専業主婦が控除について知らないと損をする可能性もある
専業主婦が控除についてきちんと理解していないと、たとえFXで利益を得ていても、損をしてしまう可能性があります。
税金、扶養、基礎控除などについての知識を身につけ、FXで効率よく利益を得られるようになりましょう。