学生がFXで利益を得るといくらから確定申告が必要なのだろう?
いくらの利益を得たら親の扶養から外れてしまうの?
こんなお悩みをお持ちではありませんか。
結論からお答えすると、学生がFXで年間38万円以上の利益を超えると、確定申告をしなければなりません。
また、アルバイトをしているかしていないかによっても、確定申告が必要な金額が異なってきます。
そこで本記事では、下記の流れで、学生とFXの税金面について詳しく紹介します。
- 学生がFXで利益を得るといくらから確定申告が必要?
- 学生がFXで利益を得るとどんな税金がかかる?
- 学生が利用できる税金の控除
- 学生がFXを行う上で注意すべきこと
- 学生でもできる節税対策
- 確定申告をしないとどうなるの?
本記事を参考にしていただければ、学生が確定申告をする金額を知ることができ、脱税して延滞税を払うことや最悪の場合の懲役刑などを防ぐことができます。
では早速、「学生がFXで利益を得るといくらから確定申告が必要なのか?」から詳しく紹介しましょう。
学生がFXで利益を得るといくらから確定申告が必要?
学生がFXで利益を得ると、確定申告が必要になるケースは、働いているのか働いていないのかによって異なります。
以下で、詳しく紹介します。
FXのみの収入の場合
アルバイトをしておらずFX取引での利益のみの場合は、利益が年間で38万円以上になると税金が発生します。
日本の税法では、年間38万円までの基礎控除があり、38万円までの利益については0円にできます。
しかし、基礎控除を超える利益がある場合には、納税の義務が発生するので確定申告をしなければなりません。
それでは、次の例で見てみましょう。
ケース①毎月3万円の利益をあげている場合
FXで毎月3万円の利益をあげている場合、確定申告をする義務はありません。
1年間に換算すると利益が36万円になりますが、38万円を超えてはいないので確定申告をする必要はないのです。
ケース②毎月4万円の利益をあげている場合
FXで毎月4万円の利益をあげている場合、確定申告をしなければなりません。
1年間に換算すると利益が48万円になり、基礎控除分の38万円を超えるからです。
FXのみの利益の場合は、年間で38万円を超えたら確定申告をしなければならないということを覚えておきましょうね!
アルバイトとFXの両方の収入がある場合
アルバイト収入や給与所得がある学生の場合は、FXの所得が年間で20万円以上になると税金が発生します。
また、日雇いや派遣などの単発での収入の場合は、FXを含めた給与所得以外のすべての所得を合わせた金額が20万円以上となってしまうと、税金が発生します。
FX以外にも所得がある場合は、FXで年間20万円以上の利益が出たら税金がかかると覚えておきましょう。
学生がFXで利益を得るとどんな税金がかかる?
学生がFXで利益を得ると、以下3つの税金がかかります。
- 所得税
- 住民税(地方税)
- 復興特別所得税
それぞれ詳しく紹介します。
所得税
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことです。
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金で、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
出典:国税庁
所得税は10種類に分類されますが、FXの利益は雑所得として扱われ、一律で15%課税されます。
住民税(地方税)
住民税とは、市町村が徴収する市町村民税と都道府県が徴収する都道府県民税の総称です。
住民税とは、鳥屋区市町村が行う住民に身近な行政サービスに必要な経費を、住民にその能力(担税力)に応じて広く分担してもらうものです。
出典:東京都主税局
個人住民税や個人市民税など呼び名があり、市区町村によって異なってきます。
また、税率は市区町村によって異なるため、詳しいことはお住まいの税務署に尋ねてみましょう。
復興特別所得税
復興特別所得税は、2011年3月に発生した東日本大震災の復興財源を集めるために徴収する税金です。
復興特別所得税とは、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」のこと。源泉徴収義務者の方は、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を合わせて徴収し、その合計を国に納付していただくことになります。
出典:国税庁
学生が利用できる税金の控除 3つ
学生が利用できる税金の控除は、以下の通りです。
- 扶養控除
- 給与所得控除
- 勤労学生控除
それぞれ詳しく紹介します。
扶養控除
扶養控除とは、扶養がいる場合に受けることができる所得控除のことです。
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられることを、扶養控除と言います。
出典:国税庁
16歳以上の子供を持つ親は、38万円の控除を受けることができます。
また、19歳から23歳未満の子供を持つ親は、63万円の控除を受けることができます。
給与所得控除
給与所得控除とは、給与から一定額を差し引ける控除のことです。
給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて変更されます。
出典:国税庁
給与等の収入金額によって、給与所得控除の金額が異なるため、詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
勤労学生控除
勤労学生控除とは、学生でも給与所得がある場合に受けることができる控除のことです。
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを、勤労学生控除と言います。
出典:国税庁
勤労学生控除は、27万年の控除を受けることができます。
ただし、以下3つの条件を満たしていなければなりません。
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 合計所得が75万円以下(令和元年以前は65万円以下)で、しかも給与所得などの勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
- 特定の学校の学生、生徒であること
例えば、基礎控除38万円+給与所得控除65万円+勤労学生控除27万円=130万円となるため、1年間の給与所得が130万円をこえなければ所得税がかかることはありません。
ただし、FXで10万円の収入がある場合は、勤労学生控除を受けることはできません。
その場合は、年収103万円を超えた場合に、所得税の支払いが発生します。
学生がFXを行う上で注意すべきこと
学生がFXを行う上で注意すべきことは、親の扶養から外れてしまうことです。
以下で詳しく紹介します。
年間38万円以上の利益を得てしまうと親の扶養から外れてしまう
年間38万円以上の利益を得てしまうと、親の扶養から外れてしまいます。
なぜなら、16歳以上の子供を持つ親は、38万円の扶養控除を受けることができるからです。
そのため、学生がFXで年間38万円以上の収入を得てしまうと、親の扶養控除から外れてしまいます。
また、19歳から23歳未満の学生の場合は、63万円までなら親の扶養に入ることが可能です。
扶養から外れてしまうと、逆にお金を多く支払わないといけない場合があるので、外れる際は一度親と相談するようにしましょう。
学生でもできる節税対策2つ
学生でもできる節税対策は、以下の通りです。
- 経費を計上する
- 損失を出しても必ず確定申告をする
それぞれ詳しく紹介します。
経費を計上する
節税対策の1つ目の方法は経費の計上です。
利益を上げるために使用したものが経費として認められると、納税額が抑えられます。
FXで認められる経費には以下のものがあります。
- インターネットの通信料
- FXをするために購入したパソコンやタブレット
- FXのセミナーの参加費や交通費
- FX会社に支払った取引手数料
- FXに関連する書籍や新聞の購入費
- FXの取引をした建物の家賃や電気代
FXの経費についての細かい規定はありません。
税務署が経費をチェックしますが、FXで必要なものを完璧に把握するのは難しいからです。
そのため、経費として計上するには明確な根拠を提示しましょう。
また、購入したことを証拠として残せるように、すべてのレシートをとっておくことをおすすめします。
損失を出しても必ず確定申告をする
節税対策の2つ目の方法は確定申告です。
FXで損失を出したときには税金を納める必要が無いので確定申告をしなくても良いと考えてしまいがちですが、税務署で損失を申告すると損失の繰越しが3年間可能となり、翌年以降の納税額を抑えられるのです。
以下の表をご覧ください。
1年目 | 2年目 | 3年目 | |
---|---|---|---|
年間のFXの利益 | -50万円 | 20万円 | 40万円 |
税金の対象となる所得 | -50万円 | -30万円 | 10万円 |
1年目で50万円の損失を出した場合、確定申告をしておけば2年目の利益との相殺が可能です。
上記の場合では2年目の利益が20万円だったので税金の対象となる所得は0円です。
また、損失の繰越は3年間可能となっています。
そのため、3年目についても30万円を繰越せるので税金の対象となる利益を抑えられるのです。
確定申告をしないとどうなるの?
確定申告をしないと、以下のようなリスクがあります。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 最悪の場合は懲役刑
FXで利益を上げた方の中には、ばれないからという理由で確定申告を行わない方もいます。
しかし、FX各社では、個人の損益を税務署に提出する義務があるため、ばれないということは100%ありません。
また、ばれてしまうと、過去にさかのぼった追懲金や悪質の場合は重加算税など、さらに税金を支払わなければなりません。
FXトレーダーとして再起不能となってしまう可能性もあるので、必ず確定申告は行いましょう。
まとめ:FXをやっているのであれば確定申告をしたほうがおすすめ
学生がFXで利益を得ると、確定申告が必要になるケースは、アルバイト所得や給与所得があるかないかによって異なります。
アルバイト所得や給与所得がある場合には、FXの利益が年間20万円を超えたらであり、FXのみの場合は、FXの利益が年間38万円を超えたら税金がかかります。
しかし、だからと言って確定申告をしないのは、おすすめしません。
なぜならば、確定申告をしなければ、損失繰越控除を受けることができないからです。
損失繰越控除を受けることにより、節税対策となるため、面倒だと思いますが、確定申告をすることをおすすめします。