始めた当初は莫大な含み損を抱える
いまではカリスマ主婦トレーダーの名前を恣にしている鳥居万友美さんですが、2006年に初めてFXトレードを行ったときは、FXについての勉強を何もしないで、手持ちの資金をすべてつぎ込んで、トレードをスタートさせました。
最初はビギナーズラックで、手持ちの資金が増え続けたため「こんなに簡単に儲かっていいのだろうか」と疑問に思ったそうです。
しかし、好事魔多しです。
円安基調だった相場の流れが、円高基調に変わったのですが、鳥居さんはナンピン買いを続けて、結局莫大な含み損を抱えて、資金をすべて失う前に損切りを余儀なくされました。
ナンピンとは、買い増しや売り増しをする行為のことよ!
このままではいけないと2006年の中頃からFXについて猛勉強を始めます。
当時は、FXについて書かれた本も少なかったので、鳥居さんは出版社の知り合いに頼んで、勝っているトレーダーさんを紹介してもらったりしながら、FXについて深く、深く勉強を続けました。
FXを始めた理由
鳥居さんがFXを始めたきっかけは家庭の事情もあるが、株式投資は銘柄が多すぎて選別が大変な上、資金がゼロになる可能性もあるということで、株式投資は眼中にありませんでした。
知人からFXは少額資金でもできるからと勧められたのがきっかけでした。
FXトレードノートをつける
鳥居さんはFXのトレードについての詳細をノートに記載することを始めました。
買いポジションや売りポジションでエントリーした時の状況や、決済をした理由とか、事細かにノートに自分のトレードをつづっていったのです。
あるときふと気がついたのが、トレードの回数が多いと資金が増えるどころか、マイナスになることでした。
トレード回数の多さがマイナストレードの原因だとわかった鳥居さんは、すぐにトレードの回数をへらしました。
そうしたら、パフォーマンスが非常によくなったそうです。
トレードについて鳥居さんはこう述べています。
「RCIを使うようになってからトレードの成績がよくなりました。
トレードには二種類あると思っています。
ひとつは、限られた通貨ペアの値動きを追っていきながら、時間足や通貨ペアの癖などを把握して、それをトレードにつなげるやり方です。
もう一つは、自分の好きなチャートのパターンがあって、そのパターンをいろいろな通貨ペアのなかから探して、トレードしていく方法です。
私はパターンを見つけてトレードするのが好きなんですね。
たくさんの通貨ペアのなかから今一番リスクが少なくて、利益が得られそうな通貨ペアを、月足から週足、日足と時間軸の順番に探していきます。
そのときに使うのがRCIというテクニカル分析です。
一つの時間軸に3本(短期、中期、長期)のRCIを表示させて、月足、週足、日足で分析して、今一番良さそうな(利益を得やすそうな)通貨ペアをピックアップしていくわけです。
それをするようになってからトレードの成績がよくなりました」鳥居さんが、そうした通貨ペアをピックアップするのは毎週末です。
約5時間ぐらいかけて作業を行います。
そうやって選んだのが次週の注目すべき通貨ペアになるわけです。
5時間という長時間をかけて選んだ注目すべき通貨ペアを付箋に書いて貼っておくそうです。
鳥居さんはいいます。
「限られた通貨ペアで取引をしていると、トレードがやりやすい時と、やりにくい時があります。
そうすると、やりやすいときに得た利益を、トレードがやりにくいときにはき出してしまったりすることもあると思います。
私の場合は、いまちゃんとトレンドがでていて、一番トレンドが強い通貨ペアと一番弱い通貨ペアを組み合わせて、取引するスタイルですので、非常に楽な気持ちでトレードができます」
鳥居さんが使っているインジケーターは、RCIっていうやつか~
テクニカル分析「RCI」
鳥居さんがもっとも多用しているRCIというテクニカル分析は、「Rank Correlation Index」の頭文字をとったもので、日本語に訳すと「順位相関指数」といいます。
これはオシレータ系のテクニカル分析ですので、相場の買われすぎ、売られすぎを判断する指標です。
RCIは、+100から-100の間で動きますが、-100から-80ぐらいの水準から反発してくると「買いのサイン」となります。
逆に、+100から+80ぐらいの水準から反発してくると「売りのサイン」になると判断します。
しかし、RCIの欠点は、トレンドが強くなってくると機能しなくなり、ダマシも多くなってくることです。
そこで、鳥居さんは一つの時間軸に、RCIを3本表示して、その3本の線の動きをみながら、通貨ペアの方向性を判断します。
表示する3本のRCIは、短期(9)、中期(21)、長期(52)です。
鳥居さんがよく使っているのは、トレンドラインと3本のRCIを使った順張りの押し目買いと戻り売りや、ボリンジャーバンドとRCIでの組み合わせでトレンド発生狙いとか、移動平均線とRCI、MACDでの反転狙いなどです。
詳細については、ダイヤモンド社から発行されている『FXで月100万円儲ける私の方法』を参考にしてください。
シャドートレーニング
鳥居さんがもう一つおすすめなのが「シャドートレーニング」です。
「シャドートレード」は、ボクサーが鏡の前で相手を想定し、ひとりでパンチを繰り出したり体をよけたりする「シャドーボクシング」と同じ発想です。
プリントアウトしたチャートを使い、ローソク足を1本ずつ見ながら次はどう動くか、自分ならどうするかを考えながら行うトレーニングです。
自分ならここでエントリーするというところには印をつけ、その後相場がどう動いたかを見ていきます。
どこで決済するか?
ストップはどこに入れるか?
などもメモしながら、自分のトレードをブラッシュアップしていくのです。
PCやスマホの画面でもできますが、紙だと色々書き込めるし、少し時間を置いてから再度シャドートレーニングして、以前の自分と現在の自分の判断を比較することもできるので、プリントアウトしたチャートを使って行うことを勧めているそうです。
イメージトレーニングみたいなものね!
資金管理やレバレッジ
鳥居さんにはFXトレードを行うときのルールがあります。
資金管理についてのルールもその一つです。
鳥居さんは、1回のトレードで損失が絶対に2%は越えないようにしています。
元手(証拠金)が少なくても、それは守ったほうがいいといいます。
たとえば、1回のトレードで5%の損失をだしてしまうと、精神的につらくなります。
2%の損失でもどうかと思うそうですが、FXを長く続けようと思うのであれば、「1回の損失は2%以内」を徹底して守るようにするべきだと、強調します。
負けている人が勝てるようになるには
トレードでなかなか勝てない人へのアドバイスとして、鳥居さんは次のようにいいます。
「FXの世界には、それは多くのテクニカル分析が存在しています。
いろいろなテクニカル分析を勉強するよりも、一つのテクニカル分析を深く、深く勉強したり、検証していくほうが、トレードをしてても利益につながりやすいのではないでしょう。
手法についても同じことがいえます。
FXのトレード手法についてもたくさんの手法があります。
とくに負けているときは、他の手法に目移りするのも理解できます。
しかし最も大事なことは、自分の手法をまず一つ決め、その手法をいろいろ検証していって、トレードに行っていくほうが、お金につながっていくと思います。
FXの世界にはやたらといろいろな手法について詳しい知識を持っている方がおられます。
ところが、そのような人に限って、トレードがうまくいっていないケースが多いように感じます」
勝てなかったら次の手法を探している気がする・・・
1つの手法を検証していくことが成功への近道と鳥居さんは言っているわよ!
男女の違い
以前は男性ばかりだったFXトレードの世界も女性が増えてきています。
鳥居さんの目に、男性トレーダーと女性トレーダーはどのようにうつっているのでしょうか。
鳥居さんはこういいます。
「男性のほうが一発逆転を狙ったトレードをする人が多いようです。
女性のほうが堅実なトレードをしますね。
長く続いているようです。
しかし、男性はFXトレードで稼げるようになると、すごく変わってしまうようです。
いままでおどおどしていたような方が急にオーラをはなったように堂々として振る舞うようになるなど、まるで別人になったかのように思えることがあります。
自分の力で稼げるようになってくるので、それがすごい自信につながっていることを感じますね」(文責:辻秀雄)
辻秀雄氏のプロフィール
ジャーナリスト。リーマンショックに世界が揺れた2008年に、日本で初めて誕生したFX(外国為替証拠金取引)の専門誌、月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。出版社社員からフリーになり、総合雑誌「月刊宝石」や「ダカーポ」「月刊太陽」「とらばーゆ」などで取材・執筆活動を行う。また、『ビジネスマン戦略戦術講座(全20巻)』などビジネス書の編集にも携わる。著書に『インターネット・スキル』『危ない金融機関の見分け方』『半世紀を経てなお息吹くヤマギシの村』など。共著に『我らチェルノブイリの虜囚』『ドルよ驕るなかれ』『横浜を拓いた男たち』など。辻秀雄氏の詳しいプロフィールは、こちらから