カバー取引先が多いFX会社を使うのが良いって聞いたことがあるんだけど、そもそもカバー取引って何だろう?
FX会社のカバー取引に関する情報って、どうやって調べたらいいのかしら?
では、今日はカバー取引について解説しましょう。知っておくと一歩進んだFX会社選びができるから、しっかり理解しましょうね。
カバー取引とは
カバー取引は、個人のトレーダーが行う取引ではなく、FX会社が金融機関を相手として行う取引です。
FX会社でその会社の顧客がFX取引を行う場合、顧客であるトレーダーはFX会社を相手に取引することになります。例えばトレーダーが米ドル/円を1万米ドル買うという取引の場合、FX会社側はそのトレーダーに米ドル/円を1万米ドル売るということになります。
この取引が成立すると、FX会社は米ドル/円の売りポジションを保有したことになりますが、FX会社はこのポジションをそのまま保有しておくわけではありません。そのまま保有しておくと、そのポジションは為替変動の影響にさらされることになり、損失につながる可能性があるからです。
また、このままだと米ドル/円のレートが上がった場合はトレーダーにとっては利益となる一方でFX会社にとっては損失となり、米ドル/円のレートが下がった場合はトレーダーにとっての損失であると同時にFX会社にとっては利益となり、トレーダーとFX会社との間に利益相反が生じてしまいます。
このような状況を避けるために、FX会社はインターバンク市場の金融機関を相手に顧客との取引と反対の売買を行ってポジションを決済します。つまり、上記の例の場合は、金融機関を相手に「米ドル/円を1万米ドル買う」という取引を行います。
このようなFX会社が金融機関を相手に顧客との取引の反対売買を行う取引を「カバー取引」と呼び、カバー取引を行う相手として各FX会社が提携している金融機関を「カバー取引先」や「カバー先」と呼びます。
カバー取引をしないと、トレーダーが儲かるとFX会社が損をし、トレーダーが損をすればFX会社が儲かる…という状態になってしまうんですね。
そう。そのような状態を「トレーダーとFX会社との間に利益相反が生じている」といい、それを避けるためにカバー取引を行うんです。
カバー先が多いFX会社を選ぶことのメリット
各FX会社が提携しているカバー先の数は、各社によって異なります。利用するFX会社を選ぶ際は、よりカバー先が多い会社がおすすめです。
上記のとおり、FX会社はカバー先を相手としてカバー取引を行っており、カバー先の金融機関が提示するレートを元にして、各FX会社が顧客のトレーダーに対して提示するレートが決まります。
カバー先が多いほど、FX会社はカバー先を競争させて複数の選択肢の中から最も良いレートを採用し、顧客に対してより良いレートを提示できることになります。つまりトレーダーにとっては、カバー先が多い会社ほど有利な取引ができる可能性が高いと言えます。
また、万が一カバー先が破綻した場合のリスクヘッジの観点からも、カバー先は多い方が安全であると言えます。
トレーダーにとってカバー先が多いことには「より有利なレートで取引ができる可能性が高い」「安全性が高い」というメリットがあるのです。
各FX会社のカバー取引について調べる方法
それでは、各FX会社のカバー取引の状況について調べるにはどうしたらよいのでしょうか。
各社のカバー先については、各社の公式サイトの「取引ルール」や「サービス概要」といったページに記載されていることが多く、カバー先の金融機関名や数はこれらのページで確認することができます。
主なFX会社のカバー先の数は以下の通りです。(2020年9月25日時点)
FX会社 | カバー先の数 |
---|---|
外為どっとコム | 24社 |
SBI FXトレード | 2社 |
ヒロセ通商 | 22社 |
LIGHT FX | 11社 |
GMOクリック証券 | 19社 |
FX会社のカバー取引における未カバー率とは
また、2019年9月以降、内閣府令によって国内のFX会社は「店頭FX取引に係るリスク情報」を開示することが義務付けられており、この開示情報のうち「未カバー率」と「カバー取引の状況」を見ることで、各社のカバー取引について知ることができます。
「店頭FX取引に係るリスク情報」の見方については、下記の記事で詳しく解説しています。
「未カバー率」とは簡単に言うと、そのFX会社におけるカバー取引が行われていないポジションの割合のことを指します。
上記の記事で解説している通り、「未カバー率」が低く、「カバー取引の状況」においてより高い格付のカバー先でのカバー取引の割合が高いほど、そのFX会社の安全性は高いと言えます。