FXのチャートパターン分析を取引に応用する
FX取引の手法は数多くありますが、その一つにパターン分析、あるいはフォーメーション分析となる手法があります。
これは、レートの動きが、予め定められたパターンやフォーメーションのかたちになったときに、相場はどう動くかがある程度、見通しがたっているというものです。
ですから、値動きがそのような定められたパターンやフォーメーションになっていると発見したら、その法則があてはまる確率が高いですから、相場の値動きがどうなるかもある程度、正確に判断できるということになります。
つまりこういうかたちになったら、昔から相場は上昇するとか、下降するとかいわれているわけです。具体的には、ローソクの足がどんなかたちになっているかをみるわけですが、パターン分析やフォーメーション分析で有名なのは、「酒田五法」です。
酒田五法にはいろいろなローソク足のパターンがあり、それぞれのパターンになったときに相場の値動きはどうなるかが、書かれています。
しかし、FX初心者にとって大変なのは、パターン分析にしろ、フォーメーション分析にしろ、かたちと意味を覚えなければならないことです。
ですが、そうやってパターンやフォーメーションを覚えたところで、定められた法則通りに相場の動きが展開するかどうかはわかりません。
うまくいくときもあるし、うまくいかないときもあります。
要は確率の問題で、これまで経験値からこんなパターンやフォーメーションになったときには、相場はこういう動きをする確率が高いという認識です。
FXのチャートについてあまりわからないという初心者の方は、こちらの記事もご参考にして下さい。
FXの鉄板チャートパターン5選
FX相場で良く起こりやすい鉄板チャートパターンは、次の通りです。
- ダブルトップ
- ダブルボトム
- ヘッド・アンド・ショルダーズトップ
- ヘッド・アンド・ショルダーズボトム
- 酒田五法
以下で、それぞれ詳しく紹介します。
ダブルトップ
「ポンド/米ドル」の週足チャートから切り取ったものですが、左右に2つの山があって、真ん中が谷のようなかたちになっている、いわゆる、「ダブルトップ」といわれるパターンまたはフォーメーションです。
いわゆるM字のかたちですが、M字の谷になって下にとがっている先端を、その先端にそった右側のラインのところにあるレート分が、下に抜けると相場は大きく動くといわれています。
事実、この「ポンド/米ドル」週足は、下降トレンドを形成しています。
ダブルトップの逆のかたち、いわゆるW字のかたちが「ダブルボトム」といいます。
ダブルボトム
「米ドル/円」の日足です。
同じように真ん中の山となっている先端を、その先端にそった右側のラインにあるレートが、上に抜けると相場が動きます。
この場合は上昇トレンドとなります。
しかし、実際のチャートでこれらのかたちを見出すのは、かなり難しいです。
こんなことをいっては身も蓋もありませんが、FX初心者がこうしたパターンやフォーメーションを見つけるのは、容易ではありません。
ですが、やがてはパターン分析やフォーメーション分析を使ったトレードをする機会もあるでしょうから覚えておいて損はありません。
といっても、では、そうしたパターンやフォーメーションが見つかったからといって、教科書どおりに動いてくれないのが相場です。
ではなぜ教科書通りに動いてはくれないのでしょうか。
それがパターン分析やフォーメーション分析の大きな課題です。
それは相場の値動きが原因です。
「ポンド/米ドル」週足の図では、M字の2つの山の部分のレートが同じように見えますが、よくみると、右の山のほうが若干ですが、左の山のレートよりも上にきています。
つまり、ダブルトップであるM字、ダブルボトムであるW字の山の部分がまったく同じレートになることはめったにありません。
そこでトレーダーは迷います。
上図の右側のダブルボトムはちょっとこじつけた感じおありますが、果たしてこれが、本当にダブルトップなのか、ダブルボトムなのか、判断がつきにくくなってしまうわけです。
しかし、慌てることはありません。
ローソク足の値動きをしっかりみていれば、相場がどうなるかは判断できるはずです。
ヘッド・アンド・ショルダーズトップ
ヘッドアンドショルダーズボトムとヘッド・アンド・ショルダーズトップもよくいわれるパターン分析あるいはフォーメーション分析です。
上図はあまりきれいなかたちではありませんが、イメージがわかってもらえたらと掲載しました。
3つの山のかたち、3つの谷のかたちで、真ん中のもっとも高い(低い)をヘッド、両側にくっついている山をショルダーといいます。
そして、両側の山(谷)になっている先端を、結んだラインがネックラインといいます。
しかし、左右のネックラインが同じレートになることはめったにありません。
ですから、いわれているのは、ネックラインのほかに、転換点というものがあります。
転換点は両方の谷や山の一方が高い(低い)レートのところです。
この転換点をこえたら、相場は上昇あるいは下降すると判断するわけです。
上図の例でいえば、左側のヘッドアンドショルダーズボトクの左の山のところが転換点で、一番右のラインのその転換点をいるので、相場は序章しています。
ヘッドアンドショルダーズボトム
一方、右側のヘッドアンドショルダーズトップでは、右側の谷の転換転移となっています。
右側のラインが転換点をこえたので、相場は下降しています。
しかし、これもダブルトップやダブルボトムと同じように、転換点をこえたからといって、そのまま教科書通りに上昇トレンドになったり、下降トレンドに必ずなったり、というものではありません。
繰り返しになりますが、相場は生きものです。
パターンやフォーメーションはあくまでも、相場がそうなるだろうという目安です。
大事なことはローソク足の値動きを読むことです。
さらに、もう一ついえることは、相場の値動きがピッタリ、ヘッドアンドショルダーズトップやヘッドアンドショルダーズボトムとなっているものを探すのは至難の技といっていいかもしれません。
ただ、こうしたパターンやフォーメーションがどんな法則を持っているかを頭のなかに入れておけばいいのではないでしょうか。
酒田五法
パターン分析やフォーメーション分析の代表格といえば、酒田五法です。
みなさんも一度や二度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。
酒田五法はもともと、米相場の分析をするために、本田宗久さんという方が江戸時代に考えられた相場分析方法です。
本田宗久さんは山形県酒田市の大地主でした。FXトレーダーのなかには、けっこう酒田五法ファンが多いという声を聞くことがあります。
酒田五法はその名の通り、5つの法則から成り立っています。
その法則は、以下の通りです。
- 三山(さんざん)
- 三川(さんせん)
- 三空(三空)
- 三兵(さんぺい)
- 三法(さんぽう)
三山とは、高値圏で3回高値を突破しようとしたが突破できずに、さすがにもう突破するのは無理なのではないかと、考えることです。
つまり、高値の天井を抜くことはもうないだろうと判断して、売りを仕掛けるということになります。
三川は、三山の反対の法則になります。
三空は、相場の窓=空に焦点をあてた考え方になります。
相場に窓があくのは、相場が日曜日の旧式を経て、月曜日にオープンするときに、窓があいたかたちで始まることがあります。
これは、相場や闇である土日に何か突発的な大きなイベント、それも為替相場に影響があるような事態が起きたときに、相場はパニック情態となって、窓をあけて始まりやすくなります。
三空というのは、その窓が3つあいて、ローソク足が形成されることを意味します。
1本目のローソク足が形成されて、次の2本目のローソク足が1本目の終値から始まらず、窓をあけてその終値より高いレートから始まり、それが、3本目、4本目のローソク足へと続いていくということです。
よほど相場が乱れていることになり、強烈な上昇トレンド、下降トレンドを形成することになります。
つまり、4本分のローソク足の窓があいているというかたちを形成しているわけです。
それが上昇相場の場合を三空積み上げ、下降相場の時を三空たたきこみと呼んでいます。
そして、意味するところは、これだけ強い力で上昇、下降したので、そろそろトレンドは転換するのではないかと、逆張りを示唆するものになります。
しかし、実際に値動きが転換するかどうかはわかりませんので、逆張りを仕掛けるのは、かなり度胸がいるのではないかと思います。
三兵とは、3本の陽線や陰線が続くことです。
つまり、底値圏で3つの陽線が連続して形成されると、これは上昇トレンドだと判断できます。
また、高値圏で陰線が3本続くと、これは下降トレンドだと判断します。
底値圏で3本続く陽線のことを赤三兵、高値圏で3本続く陰線のことを黒三兵と呼んでいます。
三法とは、相場がある一定の幅で上昇と下降を繰り返すレンジ相場の時は、トレードを休んで、相場がレンジ相場をブレークした途端にブレークした方へついていくという法則です。
下記の図のように、底値圏でレンジ相場が続いていたが、レンジ相場の高値を抜けたことで上昇相場に転じたと判断し、買いポジションでエントリーをしたということです。
このように、酒田五法にはローソク足のパターンによっていろいろな法則があり、江戸時代に考えられたものではありますが、現代のFX相場にも十分通用することから、頭の片隅に入れてトレードをしてみたらいかがでしょうか。
FXのチャートパターンを使う際の2つの注意点
FXのチャートパターンを使う際の注意点は、次の通りです。
- 取引を行う時間足に注意する
- チャートパターンに100%はない
以下で、それぞれ詳しく紹介します。
取引を行う時間足に注意する
FXでは、5分足15分足・4時間足・日足など様々な時間足があります。
どの時間足でも、チャートパターンは出現しますが、より長い時間足のほうが信用性は高いといえます。
なぜならば、短期足よりも長期足のほうが「だまし」が少ないから。
短期足で取引を行うのは構いませんが、必ず長期足を分析してから取引を行うようにしましょう。
チャートパターンに100%はない
FX相場に100%成功するチャートパターンは、残念ながら存在しません。
本記事でも紹介した、ダブルトップやダブルボトムなどが出現しても、必ず成功するかといえばそうではありません。
チャートパターンは、あくまで確率の問題であり、覚えておけば優位性のある取引を行うことができるという意味です。
100%成功するチャートパターンはないということを踏まえて、リスクを許容した取引を行いましょう。
まとめ:FXのチャートパターンを覚えれば優位性のある取引が可能
本記事では、FXのチャートパターンについて詳しく紹介しました。
チャートパターンは様々ですが、FXで鉄板とされているチャートパターンは、次の通りです。
- ダブルトップ
- ダブルボトム
- ヘッド・アンド・ショルダーズトップ
- ヘッド・アンド・ショルダーズボトム
- 酒田五法
最低でも、この5つは必ず覚えておきましょう。
辻秀雄氏のプロフィール
ジャーナリスト。リーマンショックに世界が揺れた2008年に、日本で初めて誕生したFX(外国為替証拠金取引)の専門誌、月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。出版社社員からフリーになり、総合雑誌「月刊宝石」や「ダカーポ」「月刊太陽」「とらばーゆ」などで取材・執筆活動を行う。また、『ビジネスマン戦略戦術講座(全20巻)』などビジネス書の編集にも携わる。著書に『インターネット・スキル』『危ない金融機関の見分け方』『半世紀を経てなお息吹くヤマギシの村』など。共著に『我らチェルノブイリの虜囚』『ドルよ驕るなかれ』『横浜を拓いた男たち』など。辻秀雄氏の詳しいプロフィールは、こちらから